最新記事

教育

同学年内の「生まれ月」の差は、意外に尾を引いている

2018年9月19日(水)16時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

同学年でも「生まれ月」の違いで発育には約1年の差がある cglade/iStock.

<児童・生徒の学力、体力の発達は「生まれ月」によって差があり、その後の人格形成にも影響を及ぼしていると考えられる>

東洋経済オンラインに8月14日付け掲載の、『「4月生まれ有利」「翌3月生まれ不利」は本当か 親や先生は「生まれ月の格差」に注意が必要だ』という記事が出ている。

日本の学校は生まれた年度で区切る学年制で、教室の中には4月生まれから翌年3月生まれまでの子が混在している。両端では約1年の差があり、これは結構大きい。年少の児童ではなおさらだ。

同時期に同基準のテストをした場合、心身の発育量による差が出てもおかしくない。実際にそうであることは教員なら誰もが経験で知っている。

上記の記事では、国際学力調査の「TIMSS」が引用されている。IEA(国際教育到達度評価学会)が4年間隔で実施している数学・理科の学力調査で、対象の児童・生徒(小4、中2)の生まれ月もたずねている。このデータを使えば生まれ月別の平均点を出せる。<表1>は、小4の算数・理科、中2の数学・理科の結果を整理したものだ。

maita180919-chart01.jpg

最高値(黄色)と最低値(青色)を見ると、どの教科でも20点以上の開きがある。小4では4月生まれが最も高く、2月生まれが最も低い。中2では、3月生まれが最低となっている。

早生まれが不利というのは、データでも言えそうだ。発達段階が低い小4児童ではそれが明瞭で、上記の記事タイトルにある「4月生まれは有利、翌3月生まれは不利」という傾向が見られる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中