最新記事

米中間選挙

キリスト教福音派までが共和党保守派に反旗「民主党を勝たせる」

Anti-Trump Evangelical Christians Tour to Flip Congress

2018年10月10日(水)17時30分
ジェシカ・クウォン

民主党候補を勝たせるための全米バスツアーに出た牧師ダグ・パジット Vote Common Good

11月に迫った米中間選挙を前に、従来から堅固な共和党支持層として知られてきたキリスト教福音派の間にまで反トランプの動きが台頭してきた。同じ福音派の信者に共和党候補に投票をするのをやめるよう説得して歩くバスツアーを10月に開始したのだ。

彼らの目標は、米議会における共和党の優位を覆し、民主党を多数派に押し上げることだという。運動のキャッチフレーズも「Flip Congress for the Common Good(共通善のために議会を引っくり返そう」だ。

「共通善に投票を(Vote Common Good)」と名乗るこの団体は、今の共和党はもはや信心深いキリスト教徒の価値観を体現していないという驚きのメッセージを携え、中間選挙までの約1カ月間で全米30都市を回る。狙うのは、民主党の候補者が共和党の現職議員に挑む選挙区だ。

ミネアポリスの牧師で「共通善」の共同創設者であるダグ・パジットは10月8日、ハフィントン・ポストの取材に対し、「議会の勢力図をひっくり返さなくてはならないとの思いから、我々はありえない行動に出た」と言った。

「最近起きている許しがたい出来事に対抗するには、同じくらい強烈な反応が必要だ。通常の党派対立には収まらない問題だ」とパジットは指摘する。

すべての人に自由とチャンスを

プロテスタントの一派であるキリスト教福音派の信徒はこれまで共和党の支持基盤とされてきただけに、今回のバスツアーは前代未聞だ。福音派は人工妊娠中絶に反対し、同性同士の結婚を認めないなど保守派のなかでも強硬で、その点において共和党保守派と相通じるものがあった。意見調査サイト「ファイブ・サーティエイト」によると、2016年の大統領選挙では、白人福音派の実に81%がトランプに投票したという。

アーカンソー州の牧師で、「共通善」の政治ディレクターを務めるロブ・ライヤーズは、ハフィントン・ポストに送った声明の中でこう述べている。「我々に必要なのは、貧しい者や病める者に背を向けない候補者だ。子どもを親から引き離したりせず、すべての人に自由とチャンスを与えることを支持する候補者だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中