Newsweek

日中関係

安倍首相は「三つの原則」と言っていなかった──日本の代表カメラの収録から

2018年11月17日(土)20時20分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

    ●10月26日午後、安倍首相と習近平国家主席との会談における安倍首相の冒頭発言。

    ――日中平和友好条約締結40周年という記念すべき年に中国を訪問できて本当に嬉しく思います。(感謝の儀礼的挨拶は省略)日中関係は、今回の私の訪問を契機として、競争から協調へ日中関係を新しい時代へと押し上げていきたいと思います(注5)日中は隣国同士であり、そしてパートナーであり、互いに脅威とはならない(注6)第四の文書で合意した、その合意を再確認したいとこう思います(注7)。また自由で公正な貿易体制を発展、そして進化させていかなければならないと思います(注8)。こうした原則のもとに、日中で世界からある意味では期待されている、地域や世界の平和の安定のためにともに力をあわせて貢献していきたいと思います。そういう日中の新たな時代を習近平主席と共に切り拓いていきたいと思います。

    以上が、日本の代表カメラが収録した、安倍首相の生の声である。

    国会答弁にある「三つの原則」という言葉は、ここにはない。

    つまり、安倍首相は李・習両首脳との会談で「三つの原則」とは言っていないことが明らかとなったわけだ。

    「(注)」に関する説明

    しかし、安倍首相が主張しているとされる「三つの原則」の具体的内容に関しては触れている。しかも、ほぼ同じ言葉を使っていることが見て取れる。李・習両首脳との会談を対比してみていただきたい。ほぼ

     1.(注1)=(注5):競争から協調

     2.(注2)=(注6):脅威とならない

     3.(注4)=(注8):自由で公正な貿易体制

     4.(注3)=(注7):第四の文書を再確認

    となっている。この「1、2、3」を、安倍首相は「三つの原則」と「心の中で!」名付けて発言し、「口に出して」言った「つもり」になっていたのだろう。

    ここで注目しなければならないのは、上記の「1」も「2」も、既に中国が常に「日本は遵守せよ」と上から目線で言うところの「四つの政治文書の原則」(1番目:1972年、2番目:1978年、3番目:1998年、4番目:2008年)の中に、書きこまれていることである。少しも新しいことではない。その証拠をお見せしよう。

    「1」に関して。これは以下の政治文書の中に出てくる。

    1998年:「双方は(中略)協調と協力を強化し」

    2008年:「双方は(中略)協調と協力を強化していくことで一致する」

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