最新記事

中国

GAFAのうち2社は習近平のお膝元

2018年12月27日(木)12時52分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中国語で読み上げているメンバーの名前は、拙著『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』のp.177から179に、一覧表としてまとめてあるので、これも興味のある方はご覧いただきたい。p.175にはザッカーバーグのことに少しだけ触れた。

情報を抜いているのは誰か

今年12月18日、人民大会堂で改革開放40周年記念祝賀大会が開催され、習近平は1時間以上に及ぶ演説をした。この分析に関しては追って考察するつもりではいるが、とりあえず注目したいのは同大会で、改革開放に貢献したとして表彰された100人の中にAlibabaの馬雲やBaidu(百度)の李彦宏、あるいはテンセントの馬化騰やレノボの柳傳志・・・などの姿はあったが、Huaweiの創業者である任正非の姿がなかったことだ。任正非は招待されなかったのである。

いま習近平が国家運命の全てを注ぎ、それ故に米中対立の根幹になっている「中国製造2025」が目指す中国製半導体において、その最先端を行っているのはHuaweiの頭脳であるハイシリコン社だ。ハイシリコン製半導体がなければアメリカに勝てない。売れ行きにおいてもHuaweiが中国国内で断トツのトップを走っている。

だからこそトランプ大統領はHuaweiを攻撃している。その根拠としてHuaweiが情報を抜き取って中国政府に提供しているということだが、証拠は示されていない。証拠があるなら、プリズムのように証拠は出せる。おまけに証拠を出せば中国は完敗する。だというのに日本でも「噂」だけを頼りにトランプの攻撃を正当化して、Huaweiは中国政府と癒着して情報を抜き取り中国政府に提供しているという「噂」を流しているが、もし中国政府との関係が深いのなら、なぜこういうときにHuaweiのCEO任正非を表彰しないのか。もし噂が本当なら、彼こそは中国政府にとって最大の功労者ではないか。

そしてトランプはなぜ、中国政府そのものである国有企業ZTEやユニグループ(清華紫光集団)を攻撃しないのか?国有企業は中国政府そのものなので、癒着とか関係が深いどころではなく、情報を抜き取ればストレートに中国政府の手に渡る。そこを攻撃しないで、民間企業で中国政府と一定の距離を持っているHuaweiを攻撃するのは、その頭脳であるハイシリコンが怖いからだ。中国で唯一、アメリカ半導体の最高峰クァルコムと対等に競争できるのはハイシリコンだけだからである。日本の半導体もハイシリコンのレベルには及ばない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、来週のCPIに注目

ワールド

ロシア、ウクライナ北東部で大規模攻撃準備も 米は支

ビジネス

FRB当局者内の議論活性化、金利水準が物価抑制に十

ワールド

ガザ休戦合意へ溝解消はなお可能、ラファ軍事作戦を注
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 9

    「一番マシ」な政党だったはずが...一党長期政権支配…

  • 10

    「妻の行動で国民に心配かけたことを謝罪」 韓国ユン…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中