最新記事

メンタル

ミシェル前大統領夫人が告白した「インポスター症候群」って何?

2018年12月12日(水)18時40分
松丸さとみ

自分はインポスター症候群にかかっていると告白した… REUTERS/Kamil Krzaczynski

<ミシェル・オバマ夫人や、エマ・ワトソン、シェリル・サンドバーグなど多くの著名人が公言する「インポスター症候群」とは・・>

何もかもが完璧なミシェル前大統領夫人

前米国大統領ファースト・レディーのミシェル・オバマが、英国での講演会で、自分はインポスター症候群にかかっていると告白した。実は著名人や会社の幹部など、いわゆる「成功した人」にはこの症状で悩む人が少なくないという。どんなものなのだろうか?

プリンストン大学とハーバード・ロースクールを卒業し、弁護士などの仕事をこなしていたミシェル・オバマ前大統領夫人。2人の娘の母親でもありつつ、大統領夫人時代には女子教育や食育などさまざまな慈善活動を精力的に行った。一般人からみたら非の打ちどころがないくらいに完璧だ。

フォーチュン誌によると、11月13日に発売となった回顧録『Becoming』は刊行からわずか2週間で、米国とカナダで「2018年に最も売れた本」となった。また31カ国語に翻訳され、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、スペイン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ギリシャでも売り上げ1位になっている。

そんな「スーパーウーマン」が、本のプロモーションで英国を訪問。北ロンドンにある女子校で講演した際に、300人の女子生徒を前にして「自分はインポスター症候群だ」と告白したというのだ。英BBCによると、「私のことを真剣に受け止めないで欲しい。私が何を知っているというの? と感じる」と胸の内を明かしたという。

インポスター症候群って何?

インポスター症候群とは何だろうか? インポスター(ImposterまたはImpostor)とは、「詐欺師」や「ぺてん師」という意味の英語だ。

インポスター症候群とは、「詐欺師症候群」とも呼ばれる症状で、自己評価が著しく低く、自分の能力が足りないなどの強烈な自己不信の感覚を抱いてしまうものだ。自分は自分の功績や成功に値しないと思い、まるで人を騙しているように感じてしまう。多くは仕事関係でこのような心理状態になるという。

米オンライン女性誌ザ・カットによるとこれまで、英女優エマ・ワトソンやFacebookの最高執行責任者シェリル・サンドバーグなど多くの著名人が、自分はインポスター症候群だと公言したり、もしくはそうであろうと思われるほどの激しい自己不信の感情を口にしてきた。

この言葉が最初に使われたのは、心理学者のポーリン・ローズ・クランスとスザンヌ・アイムスが1978年に発表した論文だと言われている。当時は、女性だけがかかる心理的な問題だとされていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ビジネス

中国スマホ販売、第1四半期はアップル19%減 20

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中