最新記事

アマゾン

ベゾス離婚問題が株式市場に波紋 夫人への財産分与は1兆円規模のアマゾン株?

2019年1月11日(金)09時38分

1月10日、ニューヨーク株式市場で、アマゾン・ドット・コムの株価がやや不安定な値動きになった。写真はジェフ・ベゾス最高経営責任者とマッケンジー夫人。米カリフォルニア州ビバリーヒルズで2018年3月撮影(2019年 ロイター/Danny Moloshok)

10日のニューヨーク株式市場で、アマゾン・ドット・コムの株価がやや不安定な値動きになった。創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)の離婚が同社にもたらす影響を巡り、投資家の間に不安が広がっているためだ。

ベゾス氏は9日にツイッターで、マッケンジー夫人との25年にわたる夫婦関係に終止符を打つと発表。アマゾン株は10日午前に上昇した後、結局0.2%安で引けた。

注目されているのは、ベゾス氏の総額1363億ドルと推定される財産が離婚でどうなるか。この財産には約16%のアマゾン株も含まれている。夫妻が暮らすワシントン州の法律では、結婚中に獲得した資産は離婚に際して均等に配分される。

大半のアナリストとファンドマネジャーは楽観的で、離婚がアマゾンのリーダーシップや成長見通しに関する歯車を大きく狂わせることはないと話す。

ただ著名な空売り投資家でヘッジファンドのシーブリーズ・パートナーズを率いるダグ・カス氏は、離婚発表を受けてアマゾン株の売りに動いたと述べた。カス氏は昨年12月終盤にアマゾン株を取得したばかりだった。

カス氏は、もしベゾス氏が自分の設立したアマゾンの日々の経営を誰かに委ねる道を選んだ場合にどうなるかを問うのは時期尚早だろうかと話し、今回の離婚発表はいったん立ち止まって考える機会になったと説明している。

ニューヨークのある離婚問題専門弁護士は、裁判所がマッケンジー夫人のベゾス氏に対する「内助の功」を考えた上で、夫人がどれだけアマゾン株を取得すべきかを判断する公算が大きいとみている。

ベゾス氏の持つアマゾン株の所有権が移転する事態になれば、米証券取引委員会(SEC)の規則に基づく開示が必要になる。

一方、専門家によると、アマゾンやフェイスブックやアルファベット子会社グーグルのように創業者が保有する株式により多くの議決権を付与していないため、もしマッケンジー夫人が相当規模の株式を持てば、会社に対して大きな発言力を持つ可能性がある。

証券法に詳しい弁護士は、マッケンジー夫人が大株主となった場合に彼女の議決権を希薄化したいなら、株主総会における承認が不可欠になるが、そうした動きは現実味が薄いとの見方を示した。

モネッタ・ファンドのポートフォリオマネジャー、ロバート・バカレラ氏は、自身ではアマゾンへの投資を続けるとしながらも、他の成長株投資家の間では離婚の影響を懸念してアマゾンの持ち分を減らす動きが出てくるのではないかと予想している。

[ニューヨーク 10日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

※2019年1月15日号(1月8日発売)は「世界経済2019:2つの危機」特集。「米中対立」「欧州問題」という2大リスクの深刻度は? 「独り勝ち」アメリカの株価乱降下が意味するものは? 急激な潮目の変化で不安感が広がる世界経済を多角的に分析する。

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要

ビジネス

訂正(17日配信記事)-日本株、なお魅力的な投資対

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 6

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 7

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 10

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中