最新記事

北朝鮮

米インド太平洋軍司令官「北朝鮮、すべての核兵器放棄する公算小さい」 ホワイトハウスはコメントせず

2019年2月13日(水)10時53分

米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(右)は、北朝鮮がすべての核兵器を放棄する公算は小さいとの見解を示した。韓国・平沢市で昨年11月撮影(2019年 ロイター/KIM HONG-JI)

米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は12日、北朝鮮がすべての核兵器を放棄する公算は小さいとの見解を示した。

トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と2月27─28日にベトナムで2回目の会談に臨む。

デービッドソン司令官は、上院軍事委員会で行った口頭での証言で今月の米朝首脳会談に対する楽観的な見方を表明したものの、書面での証言では北朝鮮の意図に対する疑念を表明。

「インド太平洋軍による北朝鮮の非核化に対するアセスメントは情報機関の見解と一致する。インド太平洋軍は、北朝鮮がすべての核兵器もしくは製造能力を放棄する公算は小さいが、米国および国際社会の譲歩と引き換えに部分的な非核化を巡り交渉しようとしているとみている」とした。

同司令官は北朝鮮が2017年に核・ミサイル実験を停止してから緊張は緩和しており、北朝鮮は非核化に向けある程度の措置は取ったとの認識を表明。ただこうした動きは覆すことができるとし、「有意な進展を得るためにまだなすべきことは多い」と述べた。

また、北朝鮮は米国に対し「相応の措置」を要求しており、金委員長は年初の演説で「新たな道筋」の可能性について警告したとも指摘。このことは、金委員長が交渉に満足しなかった場合、核・ミサイル実験を再開させる可能性があることを示唆しているとの見方を示した。

デービッドソン司令官が示した見解について、ホワイトハウスはコメントを控えている。

国務省報道官は、国務省は昨年6月の1回目の米朝首脳会談で得られた確約は順守されると引き続き確信しているとし、「世界は金委員長が示した非核化に対するコミットメントに注目している」と述べた。

米国のビーガン北朝鮮担当特別大使は前週、2回目の米朝首脳会談の用意を整えるため、平壌で北朝鮮側の代表と3日間の協議を開催。

韓国メディアによると、ビーガン氏はワシントンを訪問中の韓国国会の代表団に対し、平壌での協議で米朝双方の代表は交渉を行わずに互いの立場を明確にすることで合意したと話したという。

聨合ニュースは、同代表団のメンバーがビーガン氏から受けた説明は、米朝双方は首脳会談の議題について合意したが、見解の相違については次回協議で解消を目指すというものだったと報じた。ある代表団メンバーによると、ビーガン氏は「首脳会談まで2週間しかないため、難しい問題を全て解決するのは困難とみられるが、(非核化)の行程表で合意できるならば可能性はある」と述べたという。

聨合ニュースはまた、韓国大統領府の話として、ビーガン氏が来週、アジアの国で北朝鮮側の代表と再び協議する計画だと伝えた。

米国務省はコメントを差し控えた。

東欧を訪問中のポンペオ国務長官は12日、ベトナムで行われる米朝首脳会談で「大きな進展」が得られることに期待を表明。「朝鮮半島の安全と平和、朝鮮半島の非核化、北朝鮮国民の明るい未来の構築に向けた状況整備といった、昨年6月の会談での主要な合意1つ1つで進展があることを期待している」と述べた。

[ワシントン 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中