最新記事

ノーベル賞

「トランプ大統領にノーベル平和賞を」──米政府の要請で安倍が推薦?

Trump's Government Asked Japan PM for Nobel Nomination

2019年2月18日(月)15時30分
ジェイソン・レモン

2人の仲だから、ノーベル平和賞に推薦することぐらいは朝飯前?  Kevin Lamarque-REUTERS

<北朝鮮の非核化も進んでいないのに、日本の安倍首相が推薦してくれたと自画自賛>

ドナルド・トランプ米大統領が2月15日、北朝鮮との緊張緩和を理由に「安倍晋三首相からノーベル平和賞に推薦された」と、ホワイトハウスの報道陣に明かした件は、実は米政府から安倍に依頼したものだったと17日の朝日新聞が報じた。

「日本政府関係者によると、昨年6月の史上初の米朝首脳会談後、米側から『推薦してほしい』と(非公式に)打診を受けた」と、記事は言う。

「知ってるだろう?(米朝首脳会談の前は)日本の上空をロケットやミサイルが飛び交っていたことを」とトランプは言った。「それが突如として、日本は安心できるようになった。私のお陰だ」。2009年にノーベル平和賞を受賞したバラク・オバマ前米大統領には「成し遂げられなかったことだ」と述べた。

「ノーベル委員会はオバマに平和賞を与えた。オバマはホワイトハウスに来たばかりでなせ自分がノーベル賞をもらえるのか、自問自答したはずだ」。

オバマは2009年、大統領就任からわずか9カ月でノーベル平和賞を受賞。「まだ何も成し遂げていないのに」と一部から批判を浴びた。

日本にとって本当に必要なのはミサイル実験や核実験が一時的に止むことではなく、北朝鮮の核がなくなることだ。その点トランプは、米朝首脳会談で約束した通り、北朝鮮は非核化に向けた取り組みを進めており、緊張は大幅に緩和されたと繰り返し強調してきた。

だが米情報機関は、北朝鮮が核兵器を完全に放棄する可能性は低いと警告する。

ダン・コーツ米国家情報長官は1月29日、上院情報特別委員会の公聴会で次のように証言した。「われわれの現在の分析では、北朝鮮は今後も大量破壊兵器の能力維持を追求し、核兵器と製造能力を完全に放棄する可能性は低い。北朝鮮の指導者たちは(金正恩)体制存続には核兵器が不可欠と見ているからだ」

「完全な非核化とは矛盾する活動が見て取れる」

ノーベル平和賞の推薦は毎年2月が締め切りで、推薦の資格を持つのは過去の受賞者や各国の閣僚、国会議員、大学教授だ。そのなかで最も推薦してくれそうなのが安倍だった、ということか。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-イスラエル、近くラファに侵攻 国内メディアが

ビジネス

ECB、追加利下げするとは限らず=独連銀総裁

ビジネス

焦点:企業決算、日本株高再開の起爆剤か 割高感に厳

ワールド

人口減少は日本の最大の戦略課題=有識者の提言で林官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中