最新記事

中国

アクセス稼ぎのために酒と食用油をがぶ飲みし続けた男の死にざま

Man Dead After Live Streaming Drinking Alcohol, Cooking Oil Everyday For Months

2019年2月22日(金)16時06分
バイシュナビ・バイディアナタン

アクセスに応じてアプリが支払う報酬も目当てだった metamorworks/iStock.

<中国で、金目当てのライブストリーミングによる死者が相次いだ>

大量のアルコールや食用油などを飲む姿を、毎日3カ月にわたってライブ配信していた中国人の男性が、死亡した。

「チュウ」と名乗る29歳のこの男性が最後にライブ配信をしたのは2018年12月31日。遼東半島の港湾都市、大連のスーパーでアルコールを飲んでいる動画だった。「聊聊(Liaoliao)」というストリーミングアプリを使って自分の姿を撮影し、アプリ内のバーチャルルームで生配信していたようだ。

chu2190222.jpg
生前のチュウ。食用油をがぶ飲みするところをネットに配信している Weibo/The Drinks Business


上海のローカルサイト「Thepaper.cn」は2月19日、チュウはこの日、スーパーで動画を撮影・配信した後、タクシーで家に帰る途中に具合が悪くなったと、友人の話として伝えている。タクシー運転手がすぐに通報し、駆けつけた警察が近くの病院に搬送したが、死亡が確認されたという。

正確な死因はわかっていないが、匿名の友人は次のように話す。「彼が死んだのは、その日に飲んだ酒のせいではなく、3カ月間も続けて酒を飲んだせいだ。彼はビールなどを飲み続け、1日も休まなかった」

中国では、たくさんクリックを稼ぐとサイトから報酬がもらえる場合がある。チュウが酒や食用油を飲み続けたのは、多くのクリックと報酬を稼ぐためだったと友人は言う。だがチュウが手にした報酬はたった74ドルだった。

止めるな、とけしかける周囲

「ある動画では、彼は座り込んで、これ以上はもう無理だとほかの人に話していた。彼はけいれんを起こしていたのに、ほかの人はそれでも飲み続けるようにけしかけた」と友人は言う。

チュウの動画がライブ配信されていたチャットルームの管理者ワンは、彼が亡くなった「責任の一端」は自分にもあると述べた。だがいちばんの責任者は聊聊のアプリのはずだと述べた。

チュウが死んだことがわかると、アプリはライブ配信を中止。過去の動画へのアクセスはすべて遮断された。

アプリには、次のようなメッセージが表示された。「中国政府が進める『インターネット浄化作戦2019』の取り組みにしたがい、我々も自己点検をした。当分は、すべての動画の閲覧を中止する」と、同アプリは発表した。

同様の事件は他にも起きている。2月はじめ、ネットで動画を配信していた浙江省紹興市のリーという男性が、ファンを驚かせようと橋から川に飛び降りて死亡した。香港英字紙サウスチャイナ・ モーニングポストによると、リーの夢はネット動画で有名になることだったという。

事故当時に動画を撮影していたファンは言う。「彼は、ネットで人気が出たら仕事を辞めて、動画配信に集中したいと言っていた。飛び込んだ川が浅過ぎた。川底は石だらけで、とても硬かった」

(翻訳:ガリレオ)

※2019年2月26日号(2月19日発売)は「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」特集。基地をめぐる県民投票を前に、この島に生きる人たちの息遣いとささやきに耳をすませる――。ノンフィクションライターの石戸諭氏が15ページの長編ルポを寄稿。沖縄で聴こえてきたのは、自由で多層な狂詩曲だった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

IAEA、イラン核施設に被害ないと確認 引き続き状

ワールド

オランダ半導体や航空・海運業界、中国情報活動の標的

ワールド

イスラエルがイラン攻撃と関係筋、イスファハン上空に

ワールド

ガザで子どもの遺体抱く女性、世界報道写真大賞 ロイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中