最新記事

火災

仏パリのノートルダム寺院で大規模火災、尖塔倒壊 マクロン大統領は再建誓う

2019年4月16日(火)14時00分

パリ中心部にあるノートルダム寺院で大規模な火災が発生。12世紀に建設が始まった寺院は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に指定されている(2019年 ロイター/BENOIT TESSIER)

パリ中心部の観光名所ノートルダム寺院で15日午後、屋根が炎上する大規模な火災が発生した。消防当局の懸命な消火活動で約8時間後に鎮火し、主要な鐘楼と外壁の崩壊は免れたが、国内外に衝撃が広がった。

火事は夕方に発生、大聖堂の屋根がほぼ全焼し、尖塔も崩れ落ちた。16日午前3時(日本時間午前10時)までにはほぼ全面的に鎮火した。

消防隊は主要な鐘楼の崩落を阻止するための消火活動を行うと同時に寺院が保有する宗教芸術や貴重な美術品を運び出した。消防士1人が重傷を負った。ほかに負傷者は報告されていない。

マクロン大統領は現場の記者団に「最悪の事態は免れた」と述べた。募金活動や、海外の人材に支援を求めるなどして、寺院の再建を進める考えを示した。

大統領は「一緒に建て直そう。それがフランスの運命であり、今後のわれわれのプロジェクトになることは間違いない」と述べた。

寺院の石造りの骨組みは倒壊を免れた。

検察当局が火事の捜査を開始。関係筋によると、警察は事故と仮定して調べている。

アンヌ・イダルゴ・パリ市長は現場で、寺院の中に置かれていた芸術品の一部は運び出され、安全に保管されていると述べた。

12世紀に建設が始まった寺院は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている。ゴシック建築の最高傑作とされる大聖堂では現在改修作業が行われており、一部には足場が組まれている。先週には作業のためブロンズ像が取り外されていた。

大火災を受けて米国内では既に募金の呼び掛けが始まった。

グッチなど有名ブランドを手掛ける仏ケリングのトップは寺院再建に1億ユーロ(1億1300万ドル)を寄付する意向を示したと仏AFP通信は伝えた。

*内容を更新しました。

[パリ 15日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内

ワールド

FRBの独立性弱める計画、トランプ氏側近らが策定=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中