最新記事

ブレグジット

次期イギリス首相の最右翼ジョンソン、「問題児」でも党員の支持強固

2019年6月29日(土)08時45分

メイ英首相の後継レースで優位に立つジョンソン前外相(写真)に対する与党・保守党員の感情は複雑だ。英バーミンガムで22日撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)

メイ英首相の後継レースで優位に立つジョンソン前外相(55)に対する与党・保守党員の感情は複雑だ。

例えば学校の就職アドバイザーを務め、地元教会でボランティアに従事する女性のデリス・マイルズさん(66)は、人生において正直さと家族の価値、道徳性の高さを最も重視し、薬物摂取や不倫を忌み嫌っている。

そのマイルズさんは、ジョンソン氏がかつて不倫問題などで2度もうそをついたと非難されたことや、愛人にお金を払って中絶させたり、コカインを吸っていたと認めたことは全て承知の上で、来月の保守党員による決選投票でジョンソン氏に1票を投じるつもりだ。ジョンソン氏の性格に関する懸念よりも、欧州連合(EU)離脱と党勢回復の方が大事だと語り、同氏を熱烈に応援するという。

マイルズさんは「本当に難しいところだ。時には自分自身でもなかなか説明がつかない。ジョンソン氏は愛されるか、嫌われるかどちらかで、彼を愛するなら欠点には目が向かない。私もその1人に入っている。彼の道徳心のなさがことさらに好きなわけではない」と話した。

ジョンソン氏が首相になれば、足場の弱い少数派政権を率いることになる。ブレグジット(英のEU離脱)の在り方を巡る合意がなく深刻な意見対立を抱える議会、そして英国の政治情勢に堪忍袋の緒が切れつつあるEUの交渉担当者にも向き合わなければならない。

16万人の保守党員による党首選決選投票結果は、7月23日に発表される。党員のほとんどがブレグジット推進派で右派であるため、ジョンソン氏が対抗馬のハント外相(52)に対して圧倒的に有利な状況にある。いくらジョンソン氏に「うそつき」「誇張主義者」「不真面目」「だらしない」といった悪評がつきまい、前週末には交際相手と口論になって近所の人に通報される事態が報じられてもだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独消費者信頼感指数、5月は3カ月連続改善 所得見通

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中