最新記事

イギリス

英国次期首相にボリス・ジョンソン、24日就任へ 「合意なき離脱」強硬に警戒の声も

2019年7月24日(水)10時33分

英与党・保守党は欧州連合(EU)離脱強硬派のボリス・ジョンソン氏を次期党首に選出した(2019年 ロイター/TOBY MELVILLE)

英与党・保守党は23日、欧州連合(EU)離脱強硬派のボリス・ジョンソン氏(55)を次期党首に選出した。ジョンソン氏は24日に首相に就任し、合意の有無にかかわらず10月末にEUからの離脱(ブレグジット)実現を目指す。

ジョンソン氏は党首選の決選投票で9万2153票を獲得。対抗馬のジェレミー・ハント外相の4万6656票に約2倍の差を付けて勝利した。

投票後、ジョンソン氏は「10月31日にEUから離脱する。『実現できる』という新たな精神が生み出す機会を全て生かす」と言明した。

同氏はEUと離脱協定案の再交渉を目指すが、不可能であれば「合意なき」離脱も辞さない姿勢を鮮明にしている。しかし、英議会がこれに反発すことは必至で、ジョンソン氏の首相就任によって、ブレグジットを巡る新たな攻防が始まる可能性が高い。また、保守党が北アイルランドの民主統一党(DUP)の閣外協力を仰ぐ必要があることも問題を複雑にする。

ゴールドマン・サックスはこの日、合意なき離脱の確率を15%から20%に引き上げ、ジョンソン氏が次期首相に就任することで、強硬な離脱を阻止する「ハードル」がこれまで以上に高くなったと指摘。同時に、離脱協定案の再交渉が行われる確率は45%に維持した。

トランプ米大統領はツイッターでジョンソン氏に祝辞を送り、「彼は素晴らしい首相になる!」と投稿した。

EU当局者もそろって祝意を表明。しかし、ジョンソン氏が目指す離脱協定再交渉の可能性には懐疑的な見方を示し、「前途は厳しい」とけん制した。

EUのバルニエ首席交渉官は「離脱協定案の批准と秩序あるブレグジット実現に向け、ジョンソン氏と建設的な仕事をしていくことを楽しみにしている」と述べた。

フォンデアライエン次期欧州委員長は「厳しい前途が待ち構えている」とし、「われわれは、欧州そして英国双方に良い結果をもたらす責務を負っている」と語った。

マクロン仏大統領は、ジョンソン氏と「できる限り早期に」ブレグジットだけでなく、イラン問題や他の国際安全保障を巡る問題に対処していきたいと語った。

マクロン大統領の側近、ナタリー・ロワゾー氏は「英国・EUの緊密かつ建設的な関係を望んでいるが、離脱協定案は良い内容で、EUはこれを堅持する」とコメントした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国テンセント、第1四半期は予想上回る6%増収 広

ワールド

ロシア大統領府人事、プーチン氏側近パトルシェフ氏を

ビジネス

米4月卸売物価、前月比+0.5%で予想以上に加速 

ビジネス

米関税引き上げ、中国が強い不満表明 「断固とした措
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 7

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中