最新記事

ロシア疑惑

「ロシアは次の大統領選も介入する」 モラー元特別検察官、議会公聴会で証言

2019年7月25日(木)17時12分

ロシアの米大統領選干渉疑惑を捜査したモラー元特別検察官は24日、下院司法委員会の公聴会で証言し、トランプ大統領の完全な潔白は証明されていないとの認識を改めて示した。(2019年 ロイター/JONATHAN ERNST)

ロシアの米大統領選干渉疑惑を捜査したモラー元特別検察官(74)は24日、下院の司法委員会と情報特別委員会の公聴会で証言し、司法妨害を巡りトランプ大統領の潔白は証明していないとの認識を改めて示した。

モラー氏は司法委員会でナドラー委員長(民主党)から「トランプ氏の完全な潔白を証明したか」と問われ、「していない」と回答。トランプ氏はこれまで、ロシア疑惑捜査は自身の「完全で全面的な潔白を証明」したと述べている。

また、ロシア干渉疑惑や捜査妨害に関する当局の調査に「不適切な影響を与え得る多数の大統領の行為」について捜査報告書で詳細が記されたと指摘し、「捜査結果は、大統領が犯したとされる行為について無罪を証明したわけではない」と述べた。

大統領が退任後に訴追される可能性はあるとも述べた。

モラー氏は「弾劾の問題」についてはコメントを避けた。民主党の一部は大統領弾劾手続きに着手するよう求めており、党は二分されている。ただ、モラー氏が言及を避けたため、証言を受けて弾劾への動きが速まることにはならないとみられる。

同氏がロシア疑惑捜査について証言したのは初めて。公聴会は2つの委員会を合わせて7時間強にも及んだ。

モラー氏はロシアによる2016年米大統領選への介入およびトランプ氏の捜査妨害の2つの疑惑について1年10カ月にわたり捜査を実施。司法省は4月18日に捜査報告書を公開。大統領による司法妨害を示す事例を数多く指摘する一方、大統領が罪を犯した証拠はなく、また潔白が証明されたわけでもないと結論付けた。

公聴会後にトランプ大統領は共和党にとって良い一日となったとコメントし、ロシア疑惑捜査はでっち上げで魔女狩りだと改めて批判した。

ホワイトハウスと2020年大統領選での再選に向けたトランプ氏の選挙陣営の幹部はモラー氏の証言について、民主党議員にとっては「災難」だったとやゆした。トランプ氏はツイッターで、モラー氏はおじけづいており、ロシアに関する調査はでっち上げだとする他のユーザーのコメントを投稿。

また、トランプ大統領の弁護士ジェイ・セクロウ氏は「米国民はこの問題が終わったことを理解している」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や

ワールド

男が焼身自殺か、NY裁判所前 トランプ氏は標的でな

ビジネス

ECB、6月以降の数回利下げ予想は妥当=エストニア

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中