最新記事

韓国

韓国で長引く日本製品不買運動、韓国企業への影響が徐々に明らかに

2019年9月27日(金)17時30分
佐々木和義

日本企業への影響は一部を除き限定的......

日本製品の不買運動で韓国企業と韓国従業員が被害を受ける一方、日本企業への影響は、九州などの一部の観光業を除くと限定的とも言えそうだ。8月の訪日韓国人が前年比48%減少したが、訪日観光客全体で見ると2.2%減になる。日本の韓国向け輸出は主に材料や部品で、不買運動の対象になっている消費財は6%に過ぎないという事情もある。

日本の財務省が発表した8月の貿易統計では、8月の日本の韓国向け輸出が前年比9.4%減となった。韓国のマスコミは不買の影響を示唆するが、徐々に進行していた半導体不況もある。文政権の誕生以降、空洞化が加速し、半導体等の製造が落ち込んでいるのだ。すでに2019年上期の段階で、日本の対韓輸出は、自動車が増加したものの、半導体、半導体製造装置などが減少し、前年比13.3%減だった(JETRO)。

また、日本の素材メーカーにグループA(ホワイト国)除外で今後の輸入に不安をもつ韓国企業から在庫を積み増したいという'特需'要請が寄せられている。

日本製品の代替品開発を後押ししたい文政権だが、韓国企業は複数の企業から輸入した素材で部品を作り、製品に使用する。1つの素材を代替しても組合せたときに期待通りの性能を発揮するか不安があり、韓国企業は日本からの輸入を継続したい考えもあるという。

私の周辺でも、日本人が経営する日本料理店は出前が好調と聞く。利用客の減少に店に出入りする姿を見られたくない背景があるが、注文品を外から窺えない出前は人目を気にせず楽しむことができるということもあるのだろう。

2019年9月20日、サムスンのトップ、李在鎔サムスン電子副会長が日本を訪問した。名目はラグビーW杯日本大会開会式への出席だが、日本とのパートナーシップを内外にアピールする目的と見られている。硬直的な双方の政府の解決を待つ前に、民間で自ら対応しようということだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米イーベイ、第2四半期売上高見通しが予想下回る 主

ビジネス

米連邦通信委、ファーウェイなどの無線機器認証関与を

ワールド

コロンビア、イスラエルと国交断絶 大統領はガザ攻撃

ワールド

米共和党の保守強硬派議員、共和下院議長解任動議の投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中