最新記事

中国

北京、動くか 香港デモ

2019年11月18日(月)12時05分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

ブラジルで開催されたBRICS首脳会議における習近平国家主席 Pavel Golovkin/Pool via REUTERS

習近平はBRICS会議で香港デモに触れ、容認の限界を超えたと発言した。中国の中央テレビ局CCTVも香港の「暴徒」が市民生活を脅かしていると激しく非難。ただならぬ雰囲気だ。なぜこのタイミングなのか?

習近平、BRICS会議で香港デモに関して発言

ブラジル時間の11月14日、習近平国家主席はブリックス会議において香港のデモを収拾させなければならないと発言した。習近平が香港デモに関して自らの言葉で世界に向かって意思表明をしたのはこれが初めてである。

11月14日付の中国共産党の機関紙「人民日報」の電子版「人民網」は「暴力と混乱を収拾し、秩序を回復させることが、目下の香港に関する緊急の任務である」という見出しで、詳細に習近平の言葉を報道した。

それによれば、習近平の発言は以下の通りだ。

――香港で連続して発生している過激な暴力的犯罪行為は、法治と社会の秩序を著しく踏みにじり、香港の繁栄と安定を破壊し、一国二制度の原則のボトムラインに挑む許しがたい行為である。暴乱を収拾し、秩序を回復するのは、香港にとっての最も逼迫した焦眉の急を要する任務である。われわれは行政長官が率いる香港特別行政区政府が法に基づいて引き続き施政を行うことを断固支持し、香港の警察が法に基づいて厳格に行動し、香港司法機構が暴力犯罪分子を厳格に処罰することを断固支持する。中国政府が国家主権と安全と発展利益を守る決意は絶対に揺るがない。一国二制度を貫く決意も絶対に揺るがない。そして如何なる外部勢力も香港の業務に干渉することを許さないという決意も揺らぐことは絶対にないのである。

これに関して中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVもまた、毎時間のニュースで習近平の言葉を繰り返し報道しただけでなく、11月16日の朝方には人民日報が「新華社香港」電(11月15日)として、香港中聯弁(中央人民政府駐香港特別行政区聯絡弁公室)の動きを「習近平主席の重要講話を貫徹し、暴力と混乱を収拾するため社会の強大な力を一つにしよう」という見出しの報道を行なった(紙媒体では「人民日報」 2019年11月16日 04面)。

このことに関してもまたCCTVで繰り返し大きく取り上げられ、CCTVの、語気を強めたキャスターの目つきが「キリっ!」と燃え上がっており、ただならぬ雰囲気が伝わってきた。

それは「戦い」を決意したとでも言わんばかりで、普通ではないのである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB当局者、6月利下げを明確に支持 その後の見解

ビジネス

米住宅ローン金利7%超え、昨年6月以来最大の上昇=

ビジネス

米ブラックストーン、1─3月期は1%増益 利益が予

ビジネス

インフレに忍耐強く対応、年末まで利下げない可能性=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中