最新記事

韓国

韓国、長引く不況を「ノージャパン運動」が覆い隠す

2019年12月27日(金)15時15分
佐々木和義

メディアも日本が受けた影響を強調

日本への影響を話題にするのは市民だけではない。韓国経済新聞は2019年12月16日、日本政府の輸出規制が韓国よりむしろ日本に被害を与えたと報じている。同紙は日本政府が韓国に対する輸出管理を強化して以降、日本の韓国向け輸出は前年と比べて14%減少したが、韓国の日本向け輸出は7%減にとどまり、韓国より日本が受けた影響が大きいと主張する。

一方、産業通商資源部は輸出管理強化による日韓貿易の影響はごく限られると分析する。同部が12月1日に発表した11月の輸出額は前年同月と比べて14.3%減で、韓国の輸出は18年12月から連続してマイナスを記録している。最大輸出先である中国向けは12.2%減、2位の米国向けは8.4%減で、成長を続けてきた欧州向けも21.9%減など、6月以降、輸出額は2桁のマイナスが続いている。また、日本の韓国向け輸出は、輸出管理が強化される前の1月から6月の時点で前年を13.3 %下回っており、7月以降ほとんど変化していない。

韓国政府の楽観的な経済見通し

文在寅大統領は貿易黒字を強調し、政府は就業者が増加して失業率が改善していると不況を覆い隠すが、韓国銀行は大卒者が志望を諦めて入りやすい職業を選んだ結果と分析する。高学歴者を受け入れる働き口が不足し、販売や単純労働に従事する大卒就業者が増えている。平均賃金は大卒者の適正職業と比べて38%低い。

政府はまた、来年度の実質国内総生産(GDP)成長率を2.4%とする見通しを発表した。韓国銀行が発表した2.3%より高く、モルガン・スタンレーの1.7%やLG経済研究院の1.8%など、1%台を予測する民間の経済研究機関を上回る楽観的な見通しで下方修正は避けられないと専門家は指摘する。

韓国経済は輸出など外的要因に左右されやすい。政府は2.6%から2.7%としていた19年度の経済成長見通しを2.0%に下方修正している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏に罰金9000ドル、収監も警告 かん口令

ワールド

訂正-米中気候特使、5月にワシントンで会談

ビジネス

ECB、6月利下げ開始の確信強まる インフレ指標受

ビジネス

米インフレは低下、コスト低減へ一段の取り組み必要=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 9

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 10

    日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退──元IM…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中