最新記事

イラン

イラン大統領、ウクライナ機撃墜で関係者を逮捕 一方で反政府デモ参加者を拘束

2020年1月15日(水)11時55分

イランのロウハニ大統領(写真)は、テレビ演説で、革命防衛隊が誤射したミサイルによるウクライナの旅客機撃墜について、責任のある者はすべて処罰すると言明し、「悲劇的な出来事」を徹底的に調査すると語った。写真は昨年12月都内での代表撮影(2020年/ロイター)

イラン司法府は14日、ウクライナの旅客機撃墜に関与した複数の人物を逮捕したと明らかにした。また、当局が当初の主張を一転させ、革命防衛隊が誤って同機を撃ち落としたと認めて以来続いている抗議活動に参加した30人を拘束したと述べた。

イランのロウハニ大統領はこの日、テレビ演説で、ウクライナ機撃墜について、責任のある者はすべて処罰すると言明し、「悲劇的な出来事」を徹底的に調査すると語った。

同大統領は「許せない過ちだ。撃墜が1人の人間の責任ということはあり得ない」と述べ、「イラン軍が間違いを認めたことは最初の良い一歩だ。二度と同じことが起きないという確信を人々に与えなくてはならない」とした。イラン政府にはウクライナ機の墜落で「命を落としたイランやその他の国々の国民に対して責任がある」と付け加えた。

司法府の報道官は、撃墜への関与で逮捕された人の数や名前は明らかにしなかった。

デモはこの日、4日目に突入。当局が旅客機墜落への関与を当初否定していたことを巡り学生らはイラン指導部の聖職者らを批判し、最高指導者のハメネイ師の辞任を求めてきた。ソーシャルメディアに投稿された動画では、警察が警棒でデモ参加者を殴って強制排除する場面や負傷した人々が運ばれている姿が映し出され、銃声も聞こえている。

警察はデモ隊への発砲を否定している。司法府は、30人が拘束されたが、当局は「合法的なデモ」は許容すると表明した。

報道官はまた、デモを扇動したとして11日に一時拘束された駐イランの英国大使、ロブ・マケール氏は「望ましくない要素」だと批判。英政府は同大使の国外追放に関する通知は受けていないとし、そうなれば遺憾だと表明した。

*内容を追加しました。

[ドバイ 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、16-17日に訪中 習主席との関係

ビジネス

インフレ低下の確信「以前ほど強くない」、金利維持を

ワールド

EXCLUSIVE-米台の海軍、4月に非公表で合同

ビジネス

米4月PPI、前月比0.5%上昇と予想以上に加速 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 10

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中