最新記事

ライフスタイル

スキー・スノボに行かなくなった(行けなくなった)若者たち

2020年2月19日(水)13時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

スキー場が身近にある北国でも状況は同じだ。15~24歳のスキー実施率を都道府県別に出すと、1991年では48.2%から1.3%の分布幅だったが、2016年では16.5%から0.8%に縮まっている。<図2>は、3つの階級で47都道府県を塗り分けた地図だ。

data200219-chart02.jpg

この四半世紀にかけて、地図が薄くなっている。1991年では20の県で30%、34の県で15%を超えていたが、2016年では色が付いている県はわずかしかない。全国的に若者の「スキー離れ」が進んでいるのは明らかだ。

国内の主な顧客の若者がこうなので、外国人のインバウンド消費に活路を見いだすスキー場が増えている。日本の良質な雪の上を滑りたいと、スキー板をかついでやってくる外国人が多く、日本語より中国語や韓国語が飛び交っているスキー場もあるという。スキー板やウエアのレンタルをする事業所も増えてきた。

スキー離れだけでなく、若者の「○○離れ」というのは、総じて「お金の若者離れ」に起因する部分が大きい。「月収14万円」がツイッターでトレンド入りするほど、若者の貧困化が進んでいる。それに伴い「住」の貧困も起きており、1ルームの賃貸よりも狭い「半ルーム」に住む若者もいる(日本経済新聞、2月2日)。寝具と生活必需品で埋まった3畳で、スキー板など置けるはずがない。若者をこのような極狭物件に押し込めるのは消費を停滞させ、社会全体の活気を損なう。

「鳥かごに住む日本の若者」という見出しが海外メディアで踊ったら、若い外国人の労働力も来なくなるだろう。若者の生活状況をあらためて入念に点検してみる必要がある。

<資料:総務省『社会生活基本調査』

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中