最新記事

韓国

韓国で一気に広がる集会の中止 三一節の反日集会も大幅縮小か

2020年2月26日(水)16時30分
佐々木和義

三一節は大幅な縮小が予想される

3月1日に行われる三一節は大幅な縮小が予想される。韓国では年2回、全国各地で反日集会が行われる。8月15日の光復節と3月1日の三一節だ。日頃から反日発言を行い、また反日活動に参加する韓国人はわずかだが、この2日間は全国各地で反日集会が開かれ、多くの韓国人が集まる。最も規模が大きい会場は光化門広場で行われ、昨年は1万人余りが参加した感染の拡大が危惧される集会である。

忠清南道天安で三一節に合わせて開催されるアウネ烽火祭りは中止が決まり、ソウルも光化門広場に代わる会場はない。三一節は1919年3月1日に日本の統治に反対する活動家がパゴダ公園(現、タプタル公園)で独立宣言を読み上げたことに由来するが、そのタプコル公園も管理する鐘路区が閉鎖を決めている。

教会や寺院が食事を提供する無料給食所も活動休止

タプコル公園は、三一節には多くの人が集まるが、普段は高齢者の憩いの場となっている。周辺では教会や寺院などが生活保護を受けている高齢者やホームレスに食事を提供する民間の無料給食所を運営する。その鍾路区など全国26箇所で1万人余の貧しい高齢者に食事を提供している天使無料給食所が活動を休止した。ボランティアの安全と感染に弱い高齢者やホームレスへの拡大を防ぐためである。

タプコル公園円覚寺無料給食所は休止する計画はないが、感染症が拡散して以降、ボランティア活動者が減り、運営に支障をきたしている。鍾路老人総合福祉館の梨花洞本館と母岳センターは、60歳以上の基礎生活受給対象者に提供していた給食所の運営を休止し、弁当などの代替食に切り替えた。

医療ボランティアも休止に追い込まれている。ソウル城南教会が、隔週で医療奉仕活動を行なっているソウル大学病院から活動休止の連絡を受けたのである。

新学期、中国人留学生の入国に苦慮

ソウル市は新たな課題が浮上した。韓国の新学期は3月に始まるが、市内の大学に就学する中国人留学生3万8330人のうち1万7000人が新学期に合わせて入国すると見られるのだ。

各大学は中国への渡航歴がある学生は入国から2週間、寮など1人1室で隔離し観察するが、大学によっては部屋が不足し、講義にも出席できない。また中国人との接触を嫌う風潮が広がるなか、住居契約の拒絶や既存契約が破棄される懸念もある。市は空港から大学までのシャトルバスと一時的な住居の支援を検討している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中