最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症はいつ、どう終息するのか

Can Coronavirus Be Stopped and How Have Other Pandemics Ended?

2020年3月5日(木)16時43分
カシュミラ・ガンダー

消毒作業中のニューヨークの地下鉄 Eduardo Munoz-REUTERS

<ビル・ゲイツが「100年に1度のパンデミック」と警告する事態に不安が広がっている>

新型コロナウイルス(COVID-19)はこの2カ月で南極を除く世界の全ての大陸に広がった。「100年に1度」のパンデミック(世界的大流行)との警告も聞かれ、不安が広がるなか、いつ、どんな形で終息するかに関心が集まっている。

新型ウイルスは中国湖北省の武漢で昨年12月に出現した。最も深刻だった中国の感染の勢いがここへきて弱まってみえる一方、イラン、イタリア、韓国などが新たなホットスポットとして浮上。3月3日時点でアルメニア、チェコ、ドミニカ共和国、ルクセンブルク、アイスランド、インドネシアで初の感染者が報告され、60を超える国と地域に感染が広がっている。アメリカでも感染者が100人を超え、死者は6人に上るなか、米疾病対策センター(CDC)は、問題は国内に感染が広がるかどうかではなく、「いつ」広がるかだと警告した。

ゲイツの危機感

感染が広がりやすく、高齢者だけでなく健康な成人が死亡するケースもあるため、マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツは2月末、このウイルスは「かなりの程度、私たちが懸念してきた100年に1度の病原体のように振る舞っている」と警告し、貧困国の医療体制への支援が必要だと訴えた。世界保健機関(WHO)はまだパンデミックを宣言するには至っていないが、ゲイツは既にパンデミックが起きているとの見方を示した。

ゲイツは新型コロナウイルスの致死率が1%と言われていること(2%以上との見方もある)にも懸念を示した。この数字は、1957年に大流行したアジア風邪(致死率0.6%)と1918年のスペイン風邪(同2%)の中間に位置する。いずれもインフルエンザのパンデミックで、前者では世界で110万人、後者では少なくも5000万人の死者が出た。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの臨床上級講師・名誉コンサルタントを務める感染症の専門家クリストファー・チューによると、新型コロナウイルスの流行がパンデミックかどうかは言葉の問題で、実態としては、流行の震源地に渡航経験がない人、あるいは渡航者との濃厚接触がない人の感染が確認された段階で「パンデミックの定義に近づきつつある」と見ていい、という。

新型コロナウイルス「春になれば感染拡大は収まる」は本当か
いよいよドイツもパニックか 買い占めにアジア人差別 日本人も被害に

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中