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観光業の呪い

ほほ笑みの国タイの憂鬱──中国偏重がもたらす経済危機と感染危機

CHINA BLUES

2020年3月25日(水)18時15分
オースティン・ボデッティ

タイ当局は、現時点では中国からの渡航者に健康であることを示す証明書の提示を求めるだけで、多くの国が課しているような入国制限は行っていない。これは中国人客を必要とする国内産業を踏まえてのこととされる。複数の中国人ジャーナリストによると、中国も「タイ政府と入国管理局」からの「心強いサポート」を感じているという。

新型コロナウイルスは、タイが観光業でも経済でも、中国に依存し過ぎることがいかに危険か気付くきっかけになったはずだ。だが、タイ政府高官に中国偏重の姿勢を改める気配はない。そのためにタイは、経済危機と保健危機のダブルパンチを食らおうとしているにもかかわらず。

プラユットと側近たちはこう考えているのかもしれない。中国への過剰依存がタイにどんな代償をもたらすのであれ、世界の超大国と距離を置くことによって被るはるかに大きな代償よりもましなはずだ、と。

From thediplomat.com

<2020年3月24日号「観光業の呪い」特集より>

【参考記事】【緊急ルポ】新型コロナで中国人観光客を失った観光地の悲鳴と「悟り」
【参考記事】「これ以上来るな!」観光公害で疲弊する地元住民を救う方法

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