最新記事

韓国

韓国、新型コロナの影響で廃業する企業多数......政府支援へ

2020年3月27日(金)18時15分
佐々木和義

ソウルの朴元淳市長は3月22日の日曜日に礼拝を行ったサラン第一教会を名指しして、4月5日まで礼拝など一切の活動を禁止する行政命令を発動した。違反した信者に最大300万ウォン(約26万円)の罰金を科し、また、万一、感染者が発生した場合、感染者と接触者に治療費と防疫費を請求する。

市は他の教会にも同じ措置を取る考えで、キリスト教会を対象にした措置にプロテスタント教会団体は宗教弾圧だとして反発し、法曹界からも憲法が保障する宗教の自由を侵害するという声が上がっている。

カフェ、居酒屋、コンビニエンスストアなど約1600の食品関連業者が廃業

ソウル市の統計データによると3月1日から20日の間に、カフェ、居酒屋、コンビニエンスストアなど約1600の食品関連業者が廃業しており、韓国衣料産業を支える東大門市場も危機に瀕している。

小売店や卸売業が集まる東大門市場の推算規模は年間15兆から17兆ウォンで、韓国ファッション産業42兆ウォンの3分の1以上を占めている。

卸売市場は夜20時から翌朝5時まで営業し、全国から小売商が買い付けに訪れる。衣類卸売商の約6割は中国の工場に依存するが、中国で新型コロナが深刻となった1月から2月にかけて新商品サンプルや販売商品の入荷が止まり、再稼働をはじめた3月には買い付け目的の訪中ができなくなった。

大邱や釜山の小売商を顧客にもつ東大門の第一平和市場は、客足が途絶えている。昨年9月に市場が全焼して商品を失った損失を取り戻していない卸商も少なくない。

失業者の増加も深刻だ。2020年3月1日から19日に新たに失業手当を申請した人は前年同期を32.6%(3万3500人)上回る10万3000人で、同年1月の新規失業手当申請者3000人の11倍に上っている。雇用労働部は失業手当の予算を18%増額したが、受給者が40%以上に増えると枯渇し、予算補正が行われないと給付に困難が生じる可能性が浮上している。

約9兆円で企業の資金繰りを支援

政府は24日、100兆ウォン(約8兆8000億円)規模の金融支援の実施を決定した。前週、中小・零細企業や自営業者を対象とする50兆ウォン規模の金融支援実施を発表しており、大企業や中堅企業に支援範囲を広げ、社債購入などで企業の資金繰りを援助する。しかし、1事業者あたりの保証額には上限があり、また既存の借入残高は差し引かれる。十分に行き届かない懸念がある。

京畿道は3月24日、緊急経済対策として全道民に1人あたり10万ウォンを支給すると発表した。所得など生活環境と関係なく一律で支給する一方、選挙権がない外国人67万人は対象外で、4月に控えた選挙対策という声が上がっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中