最新記事

航空機

エアバスCEO「コロナで一段の人員削減必要 早急に対応しなければ存続の危機に」

2020年4月27日(月)12時00分

欧州の航空機大手エアバスのギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は従業員向け書簡で、新型コロナウイルスによる影響で一段の人員削減が必要になる可能性があるとし、早急に対応しなければ事業の存続が危ぶまれる恐れがあるとの認識を示した。仏トゥールーズで2019年11月撮影(2020年 ロイター/Regis Duvignau)

欧州の航空機大手エアバスのギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は従業員向け書簡で、新型コロナウイルスによる影響で一段の人員削減が必要になる可能性があるとし、早急に対応しなければ事業の存続が危ぶまれる恐れがあるとの認識を示した。

フォーリ氏は13万5000人の従業員に宛てた24日付の書簡で「前例のないペースでキャッシュが流出している」と指摘し、現在実施している生産縮小には最悪のシナリオが反映されておらず、引き続き見直しを行っているとした。

エアバスは、フランス政府の雇用支援制度を活用して仏労働者約3000人を一時帰休させているが、フォーリ氏は書簡で「今後はより包括的な措置の計画を立てる必要があるかもしれない」と伝えた。

その上で「いま行動しなければ、エアバスの存続が問題になる」と危機感を示した。

キャッシュの流出を食い止めるため、エアバスは今月、ナローボディ(単通路)のジェット機の生産を3分の1縮小し、1カ月当たり40機にすると発表した。より大型のジェット機についても生産目標を引き下げており、最大42%の生産縮小が行われている可能性がある。

フォーリ氏は「わずか数週間で約3分の1の事業を失ったことになる」とした上で、「率直に言って、これはわれわれが直面し得る最悪のシナリオではない」と語った。

同氏はまた、より包括的な需要分析を行う間、現在の生産計画を維持するとし、分析にはおそらく2─3カ月かかるとの見通しを示した。

最終的な市場の回復を予想するのは時期尚早としながらも、航空業界は「かなり弱く、不安定」な状態になるとの見方を示した。

[パリ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・中国・武漢市、新型コロナウイルス入院患者がゼロに 全員退院
・新型コロナウイルスが蝕む孫正義の夢 10兆円の巨大投資ファンド、投資先の大半に問題抱える
・「マスク品切れ」いつまで経っても解消されないのは何故? 多くの人に届ける方策とは
・夏には感染は終息する、と考えていいのか?
・新型コロナウイルス感染症で「目が痛む」人が増えている?


20200428issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中