最新記事

コロナショック

コロナ医療スタッフにあなたは「ありがとう」or「近寄るな」 パンデミックが暴く人間性

2020年4月24日(金)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

ニューヨークのランドマーク、マディソン・スクエア・ガーデンも医療従事者らに感謝するライトアップを始めた。REUTERS/Eduardo Munoz

<新型コロナウイルスは人びとの心を調べる検査薬かも──>

毎日新型コロナウイルスにまつわるネガティブなニュースが増えている。しかし、そんな日々の中で、今まで気に留めていなかった人びとへ感謝の心や、助け合いが行われていることが、SNSなどを通じ世界中から届くようになった。

緊急事態宣言が出たとしても、生活していくうえで必要な仕事をしている人びとや医療従事者の人びとは自宅で謹慎を行うことはできない。ソーシャルディスタンスを守りつつ、感染の恐怖にさらされながら毎日仕事をしている。そして、そのような今まで見えていなかった人びとの存在にありがたみを感じるようになったのは、今回の新型コロナウイルスのおかげともいえる。

外出自粛要請が続く日本では、家で過ごすことが多くなり、通常より家庭ゴミの量が増えているという。そんななか、神戸市ではごみ収集から集団感染が発生、環境局須磨事業所で7人が感染したことが発表された。今ごみ収集は感染の危機に直面するような状態だ。

そんな作業員の皆さんに感謝の気持ちを伝えようと、ごみ袋に「ありがとうございます。お体お気をつけて」などのメッセージを書いてごみ出しする人が現れた。今まで当たり前のように行われているサービスに目を向けると、そこには多くの人びとが存在していることに気づかされる。

青い灯りで医療従事者に感謝

世界中では、コロナウイルスと戦う最前線の医療従事者たちを称えるため「#LightItBlue」という、感謝の気持ちを青い灯りで伝えるライトアップが行われている。

神戸でも今月16日、港にある「BE KOBE」モニュメントや神戸市立博物館など10カ所で青いライトが灯された。また、神戸の大観覧車では「ありがとう」のメッセージが表示された。同じく大観覧車で有名な横浜みなとみらい地区では18日から「STAY HOME」という外出自粛メッセージと、医療従事者を応援する青いライトアップが始まっている。

一方で医療関係者とその家族への偏見や差別が行われていると言う悲しい現実もある。22日、日本看護協会はオンライン記者会見を行い、看護師が受けた差別や子供へのいじめなどの事例をあげつつ国へ支援を訴えた。

しかし、そんななかで立ち上がった企業もある。京都のMKタクシーは、京都市内の医療機関従事者を対象に「無償送迎を実施する」とTwitterで発表し話題となった。

これは、京都以外にも札幌市、東京都、名古屋市、大阪市、福岡市などで5月6日まで実施される。MKタクシーのツイートには──「明日はどんな日になるんだろう?」ではなく「明日はどんな日にするんだ」という、強い意志を。──と記されている。今このような状況の中で、差別をするべきか、それともMKタクシーのように自分に何ができるか考え名乗りを上げるべきか。今、私たちは人間性が試されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー

ワールド

焦点:中国農村住民の過酷な老後、わずかな年金で死ぬ

ワールド

アングル:殺人や恐喝は時代遅れ、知能犯罪に転向する

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの文化」をジョージア人と分かち合った日

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中