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アメリカ国民の25%、新型コロナワクチンに無関心 かつてない速さの開発に「安全性を懸念」

2020年5月22日(金)12時34分

ロイター/イプソスが21日に公表した調査によると、約4分の1の米国民が新型コロナウイルスのワクチン接種に興味を持っていない。カリフォルニア州サンディエゴで研究施設で17日撮影(2020年 ロイター/BING GUAN)

ロイター/イプソスが21日に公表した調査によると、約4分の1の米国民が新型コロナウイルスのワクチン接種に興味を持っていない。かつてないほどの速さで開発が進んでいることで安全性が問われるとの不安の声もあった。

医療専門家が通常の生活に戻るためにはワクチンが必要と唱える中、調査はトランプ政権に対する不信感がある可能性を示唆する。トランプ政権は既に、新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)中の安全指導が矛盾することが多いとの批判を浴びている。

回答者の36%は、トランプ米大統領がワクチンが安全と述べた場合、「ワクチンを接種する気がなくなる」とした。「接種する気になる」との回答者は14%だった。調査は5月13─19日に実施し、米国の成人4428人が回答した。

大半の回答者は 米食品医薬品局(FDA)による指導や、ワクチンの安全性を示す大規模な科学的調査があれば考えが大きく影響されると述べた。

ワクチンに「非常に」もしくは「いくぶん」興味を持っているとの回答は3分の2を下回った。新型ウイルスの関心の高さや、米国だけで9万2000人超が死亡したことを踏まえると、興味を持っている人はもっと多いと予想していたと専門家は言う。

米バンダービルト大学医療センターのウィリアム・シャフナー教授(予防医学・感染症)は「新型ウイルスの注目度を踏まえると、予想より少し少ない」と述べる。「75%辺りとみていた」と語った。

14%がワクチン接種に「全く興味」がないと回答。10%は「あまり興味がない」とした。11%は「分からない」と答えた。

専門家は、ワクチン接種もしくは以前の感染により最低70%の米国民が免疫を持っていない限り、いわゆる「集団免疫」を獲得することはできないとしている。集団免疫は、ウイルスに対する抗体を持った人が増え感染が拡大しにくくなる状態を指す。

トランプ大統領は年末までにワクチンを開発すると公約している。ワクチンを開発し、安全性や効果を確かめるためには通常10年以上かかる。多くの専門家は完全に試験を終え政府が承認したワクチンが広く接種可能になるのは早くとも21年半ばとみている。

世界中で100以上のワクチン候補が開発段階にある。臨床試験を開始しているものもある。バイオ医薬大手の米モデルナは今週初め、新型ウイルスワクチンが参加者8人という小規模な初期段階の治験で有望な結果を示したと発表した。

ワクチンにあまり興味がない、もしくは全く興味がないとした回答者のうち半分近くが、開発の速さを不安視していると述べた。40%超が、新型ウイルス感染症よりもワクチンの方がリスクが高いとの見方を示した。

トランプ政権はワクチンの開発を「ワープ・スピード(超高速)作戦」と名付けている。政権が開発の速さを重視していることで安全性が犠牲になっているとの不安が漂っている可能性があると専門家は指摘する。

調査からは、パンデミックの見解について国が二極化していることが浮き彫りとなった。ワクチンに興味がないと回答した共和党派は5分の1近くと、民主党派の2倍以上に上った。共和党のトランプ大統領は危機のさなか、矛盾するメッセージを発信してきた。パンデミックの深刻さを軽視し、自身の政権が出した外出自粛勧告に対する抗議活動をあおる局面もあった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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