最新記事

コロナ禍の世界

コンドームメーカー、コロナで受難

2020年5月8日(金)15時50分
松丸さとみ

ロックダウンにより、人が親密になる機会が損なわれている...... NiKita Filippov -iStock

<対人距離やロックダウンの厳しい規則のせいで、これまでのようにセックスできない状態であるため、コンドームの売り上げ減につながったという......>

ロックダウンの影響でコンドーム売り上げ減

新型コロナウイルス感染症の拡大防止で、人との距離を開けることが求められているが、こうした予防策のせいで、コンドームの売り上げが悪化したという。

英国に本社を構える日用消費財メーカーのレキットベンキーザー(RB)はこのほど、2020年第1四半期の決算を発表。同社の主力商品の一つであるコンドーム「デュレックス」の売り上げが若干減少したと発表した。同社の発表文によると、1月と2月の売り上げは好調だったが、コロナウイルス感染予防で対人距離の確保が叫ばれるようになった3月、売り上げが伸び悩んだという。

英国は、3月23日に外出禁止令が出されて以来、ロックダウン状態になっている。医療従事者など一部の職種の通勤や、生活必需品の調達、1日1回の運動などを除き、外出は禁止されている。同じ世帯に住んでいる以外の人と会うのも、ロックダウンの規則に反することになる。

カップルも不安からセックスの回数減

ガーディアン紙によると、RBのラクスマン・ナラシムハン最高経営責任者(CEO)は、コロナウイルス感染予防に伴うロックダウンにより、人が親密になる機会が損なわれていると指摘。対人距離やロックダウンの厳しい規則のせいで、これまでのようにセックスできない状態であるため、売り上げ減につながったと説明した。

また、カジュアルなセックスをする人が減っただけでなく、すでに関係が安定したカップル(恋人同士や夫婦など)の間でも、不安感が増しており、セックスの回数が減少しているという。

ナラシムハン氏によると、コンドームの売り上げが特に減った地域はイタリアだ。英国でも減ったが、とりわけ若い世代のセックスの回数は、ロックダウン開始前と比べると「かなり減った」という。

ロックダウンが発表された翌日の3月24日、英首相官邸で行われた記者説明会の中でジェニー・ハリス副主任医務官は、付き合い始めたばかりのカップルの場合、付き合いを一気に進めて一緒に暮らすか、別々に隔離生活に入るか、すぐに決断する必要があると述べた。

ハリス氏はさらに、別々の家での自主隔離でしばらく会えなくなるか、一緒に暮らすか、どちらに決めたにせよ、ロックダウン解除まではそれを守らなければならない、と説明。コロナウイルス感染拡大を抑えるには、ロックダウン中は違う世帯の人とは会わずに、ルールを守ることが重要だと訴えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中