最新記事

感染症対策

新型コロナ対策の規制緩和した韓国 感染症と暮らす「新しい生活様式」とは

2020年5月14日(木)20時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国では新型コロナへの規制が緩和され、野球やサッカーなども無観客でリーグ戦が開幕。 ただし練習や試合以外は常にマスクの着用が義務づけられている。写真は5月8日全州で行われた全北現代モータースと水原三星ブルーウィングスの試合前のようす。KIM HONG-JI / REUTERS

<感染拡大からの抑え込み、規制緩和とクラスター発生。先行する韓国に日本が見習うところは?>

これまでユニークなアイデアと、徹底的な感染ルートの情報公開で新型コロナウイルスの抑え込みを成功させ、世界から注目を浴びていた韓国。しかし、今月6日に「緩和した社会的距離の確保」から「生活の中の距離確保」に切り替え、規制を緩めたとたんに梨泰院のクラブからのクラスター発生が明るみになってしまった。これまで減少していた感染者数も残念ながらまた増え始め、感染第2波も囁かれる始末だ。

一方、日本でも今月末まで延期された緊急事態宣言が、一部特定警戒の地域も含めて39県で解除された。この感染予防のための規制が少し緩和された後、どのように日常生活を取り戻していけばいいのか。韓国のように感染第2波の懸念に怯えないためには何に気を付ければいいのだろうか。

韓国が定めた社会的な感染予防策

韓国政府は「生活の中の距離確保」として、「1日2回以上の換気/消毒」「体調不良時には3〜4日家で休む」など、日々の生活の中での5つの基本的な感染予防策の徹底を求めているが、それ以外に、仕事場や公共施設などでの注意点を31の項目に分けて発表した。

これによると、例えば、会社の中ではできれば2m(最短でも1m)の間隔をあけ、キーボード、電話機などは1日2回の消毒が望ましいとされている。

ほかにも様々な注意点が記されているが、韓国らしいものといえば、韓国の大型スーパーに行くと試食や実演販売が行われていることが多いが、飛沫感染の可能性が高まるため、館内アナウンスや看板で代用するようにと記載されている。

また結婚式では、握手やハグはやめて目礼が推奨されている。韓国は握手文化が根付いていて、近い間柄ではハグもよく行われるが、これも禁止行為とされた。

ジムなど屋内スポーツ施設では、指導者と利用者はマスク着用が勧められている。ただ、マスクを着用しながらの運動は息苦しそうで、どこまで守られるのかその実効性は難しいところだ。

その他、映画館やカラオケ等、様々な業種ごとに感染対策が記されているが、そのどれにも共通しているのが換気と消毒、2m(最低でも1m)の間隔をあけることが望ましいという点だ。


【関連記事】
・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し
・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 3月下旬以来の少なさ
・WHO、複数の新型コロナウイルス治療薬に注目 ワクチン開発は難航と予測
・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ディズニー1─3月決算、動画配信が改善 テレビ事業

ワールド

ロシアで米国人2人が拘束、1人は窃盗容疑の米軍兵士

ワールド

ブラジル南部洪水、死者90人・行方不明130人超に

ワールド

トランプ氏と性的関係、ポルノ女優が証言 不倫口止め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中