最新記事

動物

ボツワナでゾウが275頭以上が原因不明の大量死 政府が調査

2020年7月3日(金)11時40分

ボツワナのオカバンゴ・デルタに横たわるゾウの死骸。5-6月に撮影。提供写真(2020年 ロイター)

ボツワナで原因不明のゾウの大量死が発生し、政府は2日、調査を開始したと発表した。政府によると、死んだ象の数は確認されただけで275頭で、2週間前の154頭から急増している。

死んだゾウは、ボツワナ北部のオカバンゴ地区で数カ月前に最初に発見された。当局が原因を調べているが、死骸は無傷の状態で密猟の可能性はないという。

ボツワナの環境資源・保全観光省の声明によると、ジンバブエと南アフリカ、カナダの3つの研究所に死骸から採取したサンプルを送るという。

保護団体「国境なきゾウたち(EWB)」が政府のために作成し、ロイターが閲覧した報告書によると、航空調査ではあらゆる年齢層のゾウが死んでいるとみられることが判明。同団体の集計では、5月25日の時点で169頭、6月14日には新たに187頭が死亡していたという。

EWB幹部にコメントを求めたが、直ちに回答はなかった。

報告書は、「我々が観察した生きたゾウのうち数頭は衰弱し、無気力でやせ細っていた。何頭かは自分のいる場所が分かっておらず、歩行困難だったり、体の一部が麻痺して足を引きずっている様子だった」と説明。「ある1頭は円を描くように歩き、群れの仲間に促されても方向を変えることができなかった」としている。

報告書は、死因が病気によるものなのか毒物によるものなのか、緊急に確認する必要があると訴えている。

アフリカ全体のゾウの個体数は密猟で減少しているが、同大陸のゾウの約3分の1が生息するボツワナでは、1990年代後半の8万頭から13万頭に増加している。

一方、農作物を荒らす害獣とみなす農家もある。

マシシ大統領は昨年5月、5年間続いた象の禁猟措置を解除したが、今年の狩猟シーズンは新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的な渡航制限の影響で国外からハンターが入国できず、静かだという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小池知事が緊急会見「現在は感染拡大要警戒」
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・今年は海やプールで泳いでもいいのか?──検証
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200707issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中