最新記事

カナダ

「香港国家安全法」に反対の立場を取ったトルドーに中国が報復誓う

China Threatens Canada After Trudeau Suspends Hong Kong Agreements

2020年7月9日(木)15時30分
デービッド・ブレナン

国家安全維持法は、外国との共謀を犯罪行為と見なしている。「共謀」には諸外国への支援要請や、諸外国からの外交的支援も含まれる可能性があり、同法違反で有罪となった場合の最も重い刑は終身刑だ。中国は以前から、民主化を求めるデモを「過激派が扇動した」「外国勢力からの指示」による活動に仕立て上げようとしてきた。

カナダと中国は、同法が施行される前から既に冷ややかな関係にあった。2018年12月にアメリカの要請を受けて、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟CFOを逮捕したからだ。米当局は孟を詐欺罪で起訴しており、カナダの裁判所で孟の身柄引き渡しに関する審理が続いている。

孟が逮捕された直後、中国はおそらく報復としてカナダ人2人(元外交官のマイケル・コブリグと実業家のマイケル・スペーバー)の身柄を拘束。6月に2人をスパイ罪で起訴した。カナダのフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ外相は中国の一連の行動を「威圧的な外交」で「恣意的な身柄拘束」だと批判している。

シャンパーニュは香港国家安全維持法の成立を受けて発表した声明の中で、同法について「香港基本法と、『一国二制度』の枠組みの下で香港に保障されている高度な自治を無視するもの」で、カナダとして「大いに懸念する」と述べていた。

【話題の記事】
カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは
昆虫食はすでに日常 カナダの大手スーパー「コオロギ粉」全国販売開始
セックスドールに中国男性は夢中
中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

20200714issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中