最新記事

米中対立

トランプのWeChat禁止措置、連邦地裁が仮差し止め命令

2020年9月21日(月)12時16分

中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の米国内での提供などを禁止するトランプ政権の措置について、米連邦地裁は、一時的に差し止める命令を下した。写真はウィーチャットのアプリと米国の国旗。8月撮影(2020年 ロイター/Florence Lo)

中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の米国内での提供などを禁止するトランプ政権の措置について、米連邦地裁は、一時的に差し止める命令を下した。

米商務省は18日、国家安全保障上の懸念を理由に、ウィーチャットの米国内での新規ダウンロードを20日夜から禁止すると発表。司法省はこの措置の差し止めに動かないよう地裁判事に求めていた。

ウィーチャットを運営する中国の騰訊控股(テンセント)<0700.HK>、米商務省、司法省はコメントを控えた。

米カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁判事は、仮差し止め命令の中で、訴訟を提起していたウィーチャットのユーザーらの主張を認め、「とりわけ、コミュニケーションの代替手段が欠如していることを踏まえると、(禁止措置は)政府の国家安全保障上の利益のために言論に必要以上に大きな負担を負わせるものだ」と指摘した。

仮差し止め命令は、米国ユーザーにとってサイトの利便性の大幅な低下や利用できなくなる状態につながる可能性があったウィーチャットの米国内での他の取引を禁止する措置も対象となる。

判事は「確かに政府の国家安全保障上の利益は重要だ」とした上で、「政府は中国の行動が国家安全保障上の重大な懸念を提起していることを確認しているものの、米国ユーザー全てにウィーチャットの利用を実質的に禁止する措置がそうした懸念への対処につながるという証拠はほとんど示していない」と指摘した。

原告のウィーチャット・ユーザーズ・アライアンスは仮差し止め命令を歓迎し、米国内の数多くのウィーチャットユーザーにとり重要な勝利だとした。

調査会社アップトピアが8月上旬に公表したデータによると、ウィーチャットの米国内での1日当たりのアクティブユーザー数は平均1900万人。中国人学生や中国に住む米国人、中国と個人的な関係やビジネス上の関係がある一部の米国人などの間で利用されている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設

ワールド

ロシア経済、悲観シナリオでは失速・ルーブル急落も=

ビジネス

ボーイング、7四半期ぶり減収 737事故の影響重し

ワールド

バイデン氏、ウクライナ支援法案に署名 数時間以内に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中