最新記事

韓国社会

韓国、「正義」のユーチューバーらが暴走 児童性犯罪者の出所トラブルで周辺住民は恐怖の日々

2020年12月23日(水)20時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

チョ・ドゥスンの命を狙う男まで

チョ・ドゥスンの住む近隣の住民は騒音以外にも、家を動画に撮影されたことによるプライバシーの侵害を訴えている。現在、アンサン市民はユーチューブの親会社であるGoogleコリアに居住地関連動画の削除要請を申請し、Googleコリア側は検討すると回答した。

さらに、地域住民にとって深刻な問題も発生した。アンサン市警察は16日、銃刀法違反で26cmの包丁を持ち歩く36歳の男性を逮捕している。この男性は出所したチョ・ドゥスンを殺す目的で、はるばる釜山から包丁を持参してやってきたという。地域の住民にすれば、チョ・ドゥスンに加えてこんな人物までが近所をうろうろしているとなると不安で外も歩けないだろう。

今年は新型コロナウイルスの感染を防ぐための自粛生活が長かったためか、溜ったうっぷんを晴らすかの如く世界各国で過剰反応を示す人々が急増したように思える。

チョ・ドゥスンに対する怒りは十分に理解できる。特に、同じ年ごろの子供をもつ親や、アンサン市の自宅近くに住む人びとはなおさらだろう。12年の服役で彼の罪が消えたとも思えない。一生をかけて償なっていくべきだ。しかし、その状況に乗っかり、ただ暴走したいだけの人びとはある程度規制する必要がある。

来年9月15日には、未成年者ばかり11人も連続性的暴行の罪で服役中のキム・グンシクが出所予定だ。そのときが来たら、今回のようにまたも騒動になり、配信収益稼ぎを目的としたユーチューバーたちに囲まれるようなことにならないようしっかりとした対策を願いたい。

そして何よりも、今年二十歳を迎える被害者女性の心のケアと、暴走し周りが見えなくなった人びとが彼女を探し出したりしないようプライバシーをしっかり守るなど、周りのサポート体制の強化をしっかりとしていただきたい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中