最新記事

アメリカ政治

異例の厳戒警備下での大統領就任式 防護柵の外では抗議デモも

2021年1月21日(木)11時26分

バイデン米新大統領の就任式が行われた20日、首都ワシントンでは州兵など2万5000人以上を動員して厳戒態勢が敷かれ、大統領就任を祝福する市民らの姿が見られない異例の式典となった(2021年 ロイター/ANDREW KELLY)

バイデン米新大統領の就任式が行われた20日、首都ワシントンでは州兵など2万5000人以上を動員して厳戒態勢が敷かれ、大統領就任を祝福する市民らの姿が見られない異例の式典となった。

ダウンタウンには多くの場所に防護フェンスが設置され、議事堂周辺ではライフルを手にした州兵が有刺鉄線柵の後ろで警備する物々しい様子が見られた。

式典では、民主党のクロブシャー上院議員が「きょうはわれわれの民主主義が立ち直り、ほこりを払いのけ、米国が常に行うことを行い、国として前進する日だ」と述べた。

今月6日には議会議事堂を襲撃され、警官を含む5人の死者が出たが、一部の右派過激派グループはバイデン新大統領の就任式を混乱させる考えを示していた。アナリストは、過激化した個人による攻撃の脅威は懸念されるものの、組織的な攻撃の兆候はほとんどないとしていた。

防護柵近くでは小規模な抗議デモが見られ、参加者は「バイデンが米国を地獄に連れて行きたいなら、すぐに行け」などと叫んだ。

国立公園局によると、議事堂とホワイトハウスを結ぶパレードのルートで計画されていた2つのデモが中止された。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で人の集まりが制限されていることに加え、治安上の予防措置で、議会周辺は多くの通りが無人状態になり、共和党のフレーク元上院議員は「こういう状態を目にするのは痛ましい。街全体が封鎖されてしまった」と述べた。

他にも、隣接するバージニア州とワシントン間の橋やダウンタウンの地下鉄駅が閉鎖された。

バイデン氏は就任演説で「暴徒らは暴力で人民の意志を黙らせ、われわれの民主主義の機能を止め、この聖なる地からわれわれを追いやることができると考えたが、それは起きなかった。今後も決して起きない」と強調した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・議会突入の「戦犯」は誰なのか? トランプと一族、取り巻きたちの全内幕
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

4月工作機械受注は前年比11.6%減、16カ月連続

ビジネス

楽天Gの1─3月期、純損失423億円 携帯事業の赤

ワールド

プーチン大統領、16-17日に訪中 習主席と会談へ

ビジネス

独CPI、4月改定は前年比+2.4% 速報と変わら
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中