最新記事

感染症対策

独、アストラゼネカ製ワクチンの高齢者接種に難色「有効性を評価するためのデータが不十分」

2021年1月29日(金)10時48分

ドイツ予防接種常設委員会(STIKO)は、英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、接種対象年齢を18歳から64歳までに限定するよう勧告したことが、保健省による草案資料で分かった。英マンスフィールドで25日代表撮影(2021年 ロイター)

ドイツ予防接種常設委員会(STIKO)は、英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、接種対象年齢を18歳から64歳までに限定するよう勧告したことが、保健省による草案資料で分かった。

資料では「現時点で65歳以上の人に対するワクチンの有効性を評価するためのデータが不十分」と指摘した。

欧州医薬品庁(EMA)は29日、アストラゼネカ製ワクチンの承認を巡って判断を下す見通し。

シュパーン保健相は、既に疾患を持つ比較的若い年齢層がワクチン接種を待っているとした上で、アストラゼネカ製ワクチンの使用に関する最終的な勧告はEUの承認後になると述べた。

アストラゼネカからのコメントは得られていない。

国内メディアはこれまで、アストラゼネカ製ワクチンの65歳以上への予防効果が非常に低かったと報道。アストラゼネカは報道内容が「完全に誤っている」と反論している。

また、ジョンソン英首相はアストラゼネカ製ワクチンが全ての年齢層に効果があると指摘。「英当局はアストラゼネカ製ワクチンが非常に優れており、有効性が高いと明示している」と述べた。

英イングランド公衆衛生サービス(PHE)の免疫部門トップ、メアリー・ラムジー博士は「アストラゼネカの治験では高齢者の症例数が少なすぎたため、正確な保護レベルを観察することはできなかったが、免疫反応に関するデータは非常に安心感を得られる内容だった」と述べた。

英国医薬品庁(MHRA)は「65歳以上の治験参加者の有効性を示す情報は限られているが、有効性が足りないと示唆するものは何もない」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア議会、「スパイ法案」採択 大統領拒否権も

ビジネス

米ホーム・デポ、売上高が予想以上に減少 高額商品が

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の発言要旨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 10

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中