最新記事

韓国

韓国メディアが連日報道、米日豪印「クアッド」に英国参加の意向

2021年2月10日(水)17時40分
佐々木和義

韓国紙、日英同盟復活と報道

韓国・朝鮮日報は日英同盟が復活と報じている。日本と英国は1902年、ロシア帝国の極東進出に対抗し、また日本が英国の中国における権益を認め、英国が日本の朝鮮半島の権益を認める日英同盟を締結した。

英国は2月1日、日本が主導する環太平洋パートナーシップ協定CPTPPへの参加を申請した。また、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中核とする部隊を日本の南西諸島周辺に長期派遣を予定し、英国と米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが機密情報を共有する「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」に日本が参加して「シックス・アイズ」に感編することを望んでいる。ブレグジットで脱退したEUとの葛藤が高まるなか、日本との連携を通じてインド・太平洋地域での存在感を高め、国際的な影響力を挽回したい英国と安保・経済両面で中国を牽制する友軍を獲得したい日本と利害が一致した。

クアッドに英国が加わって、「クインテット(5人組)」に拡大すると、アジア・太平洋地域における韓国の立場が一層弱まるという見方が浮上している。

米英関係は特別であり、日本と英国は日英同盟を締結した歴史がある。オーストラリアは英連邦に属しており国家元首は英国王だ。インドはかつて英国の植民地で、旧日本軍の援助を経て独立した。クアッドの4カ国中、日本を除く3カ国は韓国より、むしろ英国との関係が深い。

韓国メディア各社が連日クアッドの動向を報道

トランプ前政権は、クアッド・プラス構想で韓国の参加を示唆したが、参加を公式に打診することはなかった。親中、親北を推進する文在寅政権が拒絶すると、米韓関係に亀裂が生じて、北朝鮮の非核化推進に影響が出る懸念があった。

李明博政権下で国防部長官の政策補佐官を務めた申範澈(シン・ボムチョル)氏は、メディアのインタビューで米韓同盟を基盤とし、韓国が早期にクアッド参加を米国に打診すべきだと主張した。

申氏は韓国がクアッドに加盟した上で、事案によって参加・不参加を決めれば、中国に対する韓国の価値は上昇するが、韓国が「非クアッド国」なら、中国は韓国に圧力を加える可能性があり、韓国の影響力を広げるため積極的な態度が必要、と指摘する。

サリバン米国家安保補佐官が、クアッドの継承と拡大に言及した1月31日以降、韓国メディア各社が連日、日米英などクアッドの動向を報道するなか、韓国政府は沈黙を守っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中