シングルでも結婚でもない、女性2人の愉快で幸福な共同生活
同居人と暮らして二年が過ぎた。満足度は最高レベルだ。同居人は料理とあちこち散らかすことと洗濯機を回すこと、私は洗い物と掃除、片づけ、洗濯物を畳むのが担当で、家事の分担は絶妙にバランスが保たれている。夜、さて寝ようかなと横になった時、同じ空間に誰かがいると思うだけで緊張がほぐれる。互いの気配で自然に目が覚め、家の中で毎日交わされるあいさつ(おはよう、おかえり、行ってきます!)によって、日常に活気が吹き込まれる。
ひとり暮らしの時、「情緒的体温の維持」のために多くの努力を要したのに比べ、ふたりだとそれが自然にできてしまうのがいい。もちろん、肉体的体温の維持のために、浴槽に浸かることもできる。
それに、最高にいいのは、私たちは今も「シングル」だということだ。お正月や秋夕(チュソク)〔陰暦の八月十五日、中秋〕になると、それぞれの実家に帰る。双方の両親は、私たちが一緒に暮らしていることにとても満足している。ひとりよりずっと安心だと。
料理上手な同居人のお母さんは、私の好きなお総菜を作って送ってくれる。私は、わざわざ訪ねていったり、親孝行のための旅行を計画する必要もなく、「おいしかったです!」とひとこと言えばいい。ひとり暮らしの喜びと同居の利点の両方がある。
もちろん、私たちはいろんな意味で相性ぴったりの、運のいいケースだ。ひとり暮らし以外には結婚しか選択肢がないと思っていたら、私たちの楽しい同居は不可能だっただろうし、そんなもったいないことはない。
韓国の単身世帯率は27%を超える〔統計庁の2019年人口住宅総調査によると、単身世帯数は614万8000で、全世帯数の30.2%に当たる〕という。単身世帯は原子みたいなものだ。もちろん、ひとりでも十分に楽しく暮らすことはできるけれど、ある臨界点を超えると、ほかの原子と結合して分子になることもできる。
原子が二つ結合した分子もあるだろうし、三つ、四つ、あるいは十二個が結合した分子の生成も可能だ。固い結合もあれば、ゆるい結合もあるだろう。女と男という二つの原子の固い結合だけが家族の基本だった時代は過ぎ去ろうとしている。この先、多様な形の「分子家族」が無数に生まれるだろう。分子式にたとえるなら、私たち家族はW2C4といったところだろうか。女ふたりに、猫が四匹。今の分子構造はとても安定している。
『女ふたり、暮らしています。』
キム・ハナ/ファン・ソヌ 著
清水知佐子 訳
CCCメディアハウス
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