最新記事

人権問題

ロシア、各地でナワリヌイ支持者がデモ 1500人近く拘束

2021年4月22日(木)08時47分

ロシアで4月21日、収監中の反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放と適切な治療を求め、各地で支持者らによる抗議集会が行われた。警察当局はデモ参加者1500人近くの身柄を拘束し、ナワリヌイ氏の最側近2人の身柄も一時拘束した。写真はモスクワで2019年9月撮影(2021年 ロイター/Shamil Zhumatov)

[モスクワ 21日 ロイター] - ロシアで21日、収監中の反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放と適切な治療を求め、各地で支持者らによる抗議集会が行われた。警察当局はデモ参加者1500人近くの身柄を拘束し、ナワリヌイ氏の最側近2人の身柄も一時拘束した。

プーチン大統領はこの日、議会で行った年次教書演説で、ロシアの「レッドライン(越えてはならない一線)」を超えないよう西側諸国に警告した一方、ナワリヌイ氏には言及しなかった。

ナワリヌイ氏(44)は収監先の刑務所で脚と背中の痛みを訴えたものの治療を拒否されたため3月31日にハンガーストライキに入り、健康状態が悪化。今週に受刑者用の病院に移送されたものの、支持者は同氏が腎不全や心不全を起こす恐れがあると懸念している。

米政府は先に、ナワリヌイ氏が収監中に死亡すれば「結果を伴うことになる」と警告している。

ナワリヌイ氏支持者の呼び掛けに応じ、21日は首都モスクワやサンクトペテルブルク、ウラジオストクなど各地でデモが行われ、数千人が参加。モスクワの集会にはナワリヌイ氏の妻ユリア氏も参加した。

だが、集会が予定されていたモスクワ中心部の広場は警察当局に封鎖されるなど、厳戒態勢が敷かれた。

モスクワでは、集会の数時間前にナワリヌイ氏のユーチューブチャンネル出演者の1人であるリュボフ・ソボル氏と、ナワリヌイ氏の広報担当者であるキラ・ヤーミッシュ氏が自宅近くで拘束された。

ソボル氏はその後釈放されたが、ヤーミッシュ氏は抗議活動を扇動したとして10日間の収監が決まった。

ミシェル欧州理事会議長は2人の拘束について「嘆かわしい」と語った。

警察はモスクワで6000人が違法な抗議活動に参加したとしているが、ナワリヌイ氏のユーチューブチャンネルは参加者数がこの10倍だったとしている。

人権監視団体「OVD-Info」によると、警察当局はこの日、1496人の身柄を拘束した。このうち662人がサンクトペテルブルクで拘束されたという。

米上院外交委員会のメネンデス委員長は、ナワリヌイ氏に医療処置を提供するようロシア政府に求めるとともに、ロシアへの制裁発動を呼び掛けた。

*情報を更新しました



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、1─3月期は予想下回る1.6%増 約2年

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中