最新記事

感染第4波

緊急事態宣言、5月11日で解除か延長か 政府内で割れる意見、来週判断か

2021年4月30日(金)19時34分

政府は新型コロナウイルスの感染再拡大防止のため東京・大阪などに発令中の緊急事態宣言について、期限の5月11日で解除可能かどうか、早ければ来週後半にも判断する。都内で1月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

政府は新型コロナウイルスの感染再拡大防止のため東京・大阪などに発令中の緊急事態宣言について、期限の5月11日で解除可能かどうか、早ければ来週後半にも判断する。複数の関係筋によると、政府内では感染者の減少が確認できなければ延長が必要との見方が浮上しているが、延長に慎重な意見もある。

春以降の感染再拡大を受けて政府は、4月5日から大阪府、兵庫県などを対象にまん延防止措置等重点措置を発令。それでも感染拡大が収束しないため25日から大阪府、京都府、兵庫県、東京都を対象に3度目となる緊急事態宣言を発令し、酒類を提供する飲食店や大型商業施設への休業要請などの措置を取っている。

緊急事態宣言の解除基準について、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は28日の衆院内閣委員会で「新規感染者数がかなり下がるか、下げ止まりの期間を長く維持することを考慮すべきだ」と指摘し、感染者数減少の基準について、「一部専門家は(東京都で)1日当たり100人程度としている」と紹介した。

政府内では、今が感染のピークで今後減少傾向が確認できれば、予定通り緊急事態宣言を解除できるとの見方がある。一方、長引く自粛疲れで、繁華街などの人出の減少が限定的となっており、「延長は不可避。6日、7日には判断せざるを得ないだろう」(政府関係者)との声も出ている。

「延長ならば東京都と隣接する埼玉・千葉・神奈川県などへの対象拡大も今後の論点」(別の政府関係者)で、「対象拡大がない場合、延長判断は10日にずれ込む可能性もある」(同)との指摘もある。

政府は年初来、大型連休前のコロナ収束と、観光刺激策GoToトラベルの再開を視野に入れてきた。春の感染第4波は想定外だが、関係筋によると、夏の東京五輪・パラリンピックを開催し、回復の鈍い政権支持率を浮揚させ、衆院選に繋げる方針は堅持しているという。

東京都の新型コロナ新規感染者数は29日に1027人と3カ月ぶりに1000人を超えたが、30日は698人と1カ月ぶりに前週の同じ曜日を下回った。大阪府では30日も感染者は1043人と1000人を上回っている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国GDP、第1四半期は前期比+1.3% 市場予想

ビジネス

バイオジェン、1―3月利益が予想超え 認知症薬低調

ビジネス

フォード、第2四半期利益が予想上回る ハイブリッド

ワールド

バイデン氏陣営、選挙戦でTikTok使用継続する方
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中