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陰謀論

インドの感染爆発は5G実験のせい?──政府は打ち消しに躍起

India Assures Citizen 5G Doesn’t Cause COVID-19

2021年5月13日(木)16時50分
カミー・ペドロジャ
新型コロナと戦う壁画(インドのムンバイ)

累計死者数は25万人を突破、感染爆発が収束する気配は見えない(ムンバイの壁画) Francis Mascarenhas-REUTERS

<第一波は抑え込んだのに第二波は手に負えなくなっている理由について、インドではさまざまな陰謀論が猛威を奮るう>

新型コロナウイルスの感染爆発で連日多数の死者が出ているインドで、通信IT省通信局(DOT)が市民に向けて緊急メッセージを発した。

第5世代(5G)通信の電磁波と新型コロナ感染には何の関連もない、という内容だ。そもそもインドでは、5Gの実証実験は行われていないと、ご丁寧にも請け合った。

インドでは第2波の感染拡大が始まって以来、SNS上で新型コロナに関する様々なデマや陰謀論が拡散されている。なかでも猛威を振るっているのは、5G通信のテスト中に基地局から出た電磁波が感染爆発を引き起こした、という全く根拠のないデマだ。

「こうしたメッセージは偽りであり、完全に間違っています」DOTはそう市民に呼びかけた。「5G技術と新型コロナウイルスの感染拡大には何の関係もありません。こうした虚偽情報や噂に惑わされないよう注意してください」

安全基準の厳しさをアピール

DOTによれば、現時点でインドでは5G通信のテストは一切行われておらず、基地局の使用で出る電磁波が感染拡大を加速させているという説は「何の根拠もない」デマにすぎない。

たとえテストが実施されても、人体に有害な電磁波が出ることはないと、DOTは保証する。「基地局から出る非電離高周波はごく微弱で、人間も含め生物の細胞に損傷をおよぼす恐れは一切ありません」

基地局周辺の住民の電磁波曝露については、「DOTは国際機関・国際非電離放射線防護委員会の定めた安全基準および世界保健機関(WHO)が推奨する基準よりも10倍も厳しい上限を設定しています」と声明は述べる。

それでも心配な人のために、ネットで公開されたDOTの声明には基地局の位置やテストの実施状況などを確認できるポータルのリンクが張ってある。

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