最新記事

会見拒否問題

全仏棄権の大坂なおみに選手がエール「私たちの世代はオープンになり過ぎている」

Naomi Osaka Gets Support From Grand Slam Leaders Days After She's Threatened With Suspension

2021年6月2日(水)17時59分
メアリー・エレン・カナソーラ

フランステニス協会(FFT)のジル・モレットン会長、オールイングランド・クラブ(AELTC)のイアン・ヒューレット会長、全米テニス協会(USTA)のマイク・マクナルティ会長、テニス・オーストラリアのジェイン・フルドリチュカ会長は、選手やツアー、メディアと協力し、「我々の大会における選手たちの体験を改善する」取り組みを行うと約束した。さらにトップ4人は、すべてのアスリートが「ランキングや地位に関係なく、公平な条件のもとで競技を行える」よう万全を期すとの意向も示した。

これとは別に、国際テニス連盟(ITF)の広報担当専務理事ヘザー・ボウラーは1日、AP通信にメールで送った声明のなかで、大坂が「メンタルヘルスの問題に光を当てた」ことを受けて、「改善のために必要な点について見直しを行う」と述べた。

「すべてのステークホルダーが、互いに尊重し合う質の高い環境をこれからも提供し続けるようにすることは、我々にとっても大いに利益になる。それぞれが心身の健康状態に影響を受けることなく、持ちうる能力の最良の部分を発揮し、テニスという競技の振興のために自らの務めを果たすことができる環境が必要だ」と、ボウラーは言う。

「僕もとても苦しかった」

セリーナ・ウィリアムズをはじめとするさまざまなテニス選手が、大坂に支援を表明した。大坂が31日にソーシャルメディアに投稿した声明で、率直に心境を打ち明けたことを称えた。

アメリカのテニス選手、アン・リー(23)は1日、全仏オープン1回戦で勝利を収めた後に語った。「これは難しい問題だ。問題をどれだけ表に出すかは人によって違うが、いずれにしても、本当の胸の内は、本人以外には誰にもわからない。彼女(大坂)の思いは私にはまったくわからなかった。それでも、彼女がオープンに語ったことには敬意を表する」

「私たちの世代は、(メディアに対して)どんどんオープンになっている。それはいいこととも言えるが、時には悪い面が出ることもある。彼女の無事を祈っている」とリーは述べた。

また、こちらも全仏オープンで1日の試合に勝利したフランスの男子トップ選手(34)、ガエル・モンフィスは、大坂の不安はある程度理解できると述べた。

「彼女の辛い気持ちはわかる。僕もこれまでとても苦しい思いをしてきたからだ」とモンフィスは語った。「彼女が向き合っているものが何なのか、僕には想像もできない。なぜなら、彼女は他の人と比較にならないぐらい多くの面で非常に大きなプレッシャーにさらされているに違いないからだ。まだとても若いのに、非常にうまく対処していると思う。おそらく僕たちが、彼女からあまりに多くのものを求めすぎていたところもあると思う。だから彼女がときになんらかの間違いを犯しても当然だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

南ア憲法裁、ズマ前大統領に今月の総選挙への出馬認め

ワールド

台湾新総統が就任、威嚇中止要求 中国「危険なシグナ

ワールド

ベトナム国会、マン副議長を新議長に選出 新国家主席

ワールド

イラン大統領代行にモフベル第1副大統領、5日間の服
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 4

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 9

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中