最新記事

「1日1回食事する犬は加齢性疾患のリスクが低い」との調査結果

2021年11月30日(火)18時50分
松岡由希子

「犬の1日1回の食事は全身の健康増進と関連がある」Sadeugra -iStock

<1日1回食事する犬は、1日2回以上食事する犬に比べて、認知機能障害を示すスコアが低いことがわかった>

「1日1回だけ食事する飼い犬は、1日2回以上食事する犬と比べて加齢性疾患のリスクが低い」との調査結果が明らかとなった。

犬の加齢について研究する米ワシントン大学やテキサスA&M大学らのプロジェクト「ドッグ・エイジング・プロジェクト」は、あらゆる犬種、年齢、大きさの飼い犬のデータを2019年から収集している。

「犬の1日1回の食事は全身の健康増進と関連がある」

プロジェクトでは、2019年12月26日から2020年12月31日までオンラインでアンケート調査を実施。飼い犬2万4238匹の健康状態を調査するとともに、1万474匹に認知機能を測定する行動調査を行った。一連の研究成果をまとめた査読前論文が「バイオアーカイブ」で公開されている。

その結果、1日1回食事する犬は、1日2回以上食事する犬に比べて、認知機能障害を示すスコアが平均0.63ポイント低い。また、胃腸、歯、口腔、腎臓、泌尿器、肝臓、すい臓への機能障害が起こる割合も低かった。研究チームは、一連の調査結果をふまえて「犬の1日1回の食事は全身の健康増進と関連がある」と考察している。

1日のうち食事する時間帯を制限する「断続的断食(IF)」は、日本でも広く話題となってきた。南カリフォルニア大学の研究チームは、2021年1月に発表した研究論文で「ヒトが断食と摂食の時間を交互に繰り返すと、老化、糖尿病、自己免疫、心血管疾患(CVD)、神経変性、がんのリスク要因にプラス効果がある」ことを示す一方、「すべての方法が一様ではなく、プラス効果が限定的なものや、副作用をもたらすものもある」と指摘する。

オオカミは数日間、何も食べずに過ごすが......

犬はオオカミから進化した。オオカミはしばしば獲物が見つかるまで、数日間、何も食べずに過ごすため、食事の頻度を制限することは犬の健康にも有益なのかもしれない。しかし、今回の調査結果では、その因果関係が示されていない。また、それぞれの犬が何を食べ、どれくらいのカロリーを摂取したのかも不明だ。

現時点では、米国の愛犬家団体「アメリカンケネルクラブ(AKC)」や多くの獣医師会が、犬に1日2回、餌を与えるよう推奨している。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会

ワールド

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化

ワールド

漁師に支援物資供給、フィリピン民間船団 南シナ海の

ビジネス

米、両面型太陽光パネル輸入関税免除を終了 国内産業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 8

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 9

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中