最新記事

銃社会

流れ弾に当たって少年が死亡、自室でゲーム中に

Teen Boy Killed by Stray Bullet While Playing Video Games in His Own Room

2021年11月22日(月)14時27分
トーマス・キカ
銃痕イメージ

流れ弾は自分の部屋でゲームに興じていた少年の命を奪った missisya-iStock

<優秀だった少年はロサンゼルス郊外の自室で突然、命を絶たれた。11月初めには、家族と車で移動中の子供が弾に当たって死ぬ事件もあった>

カリフォルニア州パサデナに住む13歳の少年が11月20日の夜、自分の寝室で、流れ弾に当たって死亡した。

撃たれた時、少年はビデオゲームをしていたと伝えられている。ちょうどそのころ、少年の自宅近くで銃の発砲事件が起きていた。少年の氏名は公表されていない。

発砲事件については原因も、関係していた人物も現時点では明らかになっていないが、少年の家の近くで約3~5発の発砲があったともようだ。このうち一発が少年の寝室の窓を突き破り、少年に当たった。撃たれた少年を家族が発見し、助けを求めた。

家に到着した救急チームは、少年が銃弾による傷を負っていたことを確認した。現場で心肺蘇生措置が施された後、近くの病院に運ばれたが、まもなく死亡が宣告された。

「この悲劇的な事件について何かご存じの方、または何かを目撃した方は、パサデナ警察に名乗り出てください」と、同市のマーク・グッドマン警察署長は声明を出した。「情報提供者の身元は明かしません。私たちが望んでいるのは、この悲劇的な事件を引き起こした人物を見つけ出し、裁きを受けさせることです」

「警察はあらゆる映像を手元に集め、検証している」と、パサデナ警察長ジョン・ペレスは、地元のテレビ局KTLAを通じて語った。「何時間分もの映像があるので、見なければならないものがたくさんある。まだ事件が起きた時間の映像は見ていない」

近所で発砲事件が頻発

被害者は犯罪とはまったく縁のない、成績がオールAの優秀な生徒だったとペレスは語った。

「私たちのコミュニティにとって、まぎれもない悲劇だ」と、ペレスは言う。「この13歳の少年は犯罪とは無関係だった。家でテレビゲームをしていただけだ。13歳の子供ならだれでもやっていることだ」

少年の家の隣に住むジョビタ・ゴンザレスは、20日の夜に2発の銃声を聞き、何が起こっているのかを見に出かけた、とパサデナ・モーニング・スター紙に語った。彼女が見たのは、家の前庭で助けを待つ少年の家族の姿だった。父親はその場に立ち尽くし、母親はすすり泣いていたという。

「母親は何も言わずに、手を差しだし、私を抱きしめた」と、ゴンザレスは続けた。「そして自分の肺のあたりを指差し、『あいつらが息子を傷つけた』と叫んだ。そして、救急車はきたか、と何度も尋ねた」

ここ数カ月、この界隈では何度も発砲事件があったとゴンザレスは言った。

「私たちはうんざりしている。もう犬を連れて外出することもできない。撃たれるんじゃないかと怖くてしかたがないから」

本誌はパサデナ警察にこの事件に関するコメントを求めた。

11月初めにも、罪のない子供が流れ弾に当たって死ぬ事件があった。サンフランシスコからカリフォルニア州フリーモントに向かっていた家族の車のなかで、眠っていた2歳の子供が外から飛んできた弾に当たって死亡した。警察は、近くの車両で撃ち合っていた二組のギャングが発砲した弾丸が当たったものと考えている。

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国テンセント、第1四半期は予想上回る6%増収 広

ワールド

ロシア大統領府人事、プーチン氏側近パトルシェフ氏を

ビジネス

米4月卸売物価、前月比+0.5%で予想以上に加速 

ビジネス

米関税引き上げ、中国が強い不満表明 「断固とした措
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 7

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中