最新記事

キャッシュレス決済

デジタル人民元アプリが急拡大、App Storeで5日間首位 決済利用はまだ限定的

2022年1月18日(火)10時18分
上海市内の自動販売機に表示されたデジタル人民元のアイコン

大きな注目を集めたデジタル人民元のスマートフォン用ウォレットアプリ配信が始まってから2週間が経つが、ダウンロードが急速に広がる一方で、実際の決済利用は伸び悩んでいる。写真はデジタル人民元のサイン。上海市内の自動販売機で2021年4月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

大きな注目を集めたデジタル人民元のスマートフォン用ウォレットアプリ配信が始まってから2週間が経つが、ダウンロードが急速に広がる一方で、実際の決済利用は伸び悩んでいる。

中国人民銀行(中央銀行)は来月の北京冬季五輪を前に、「e─CNY」とも呼ばれるデジタル人民元の実証実験を加速させている。しかし、利用は実証実験が行われている10の主要都市に限定されており、多くの人が2大決済サービスであるアント・グループの「アリペイ」と騰訊控股(テンセント・ホールディングス) の「微信支付(ウィーチャットペイ)」をなお好んで使っている。

e─CNYは中銀が発行する法定のデジタル通貨。人民銀は1月4日にウォレットアプリの配信を開始した。米調査会社センサータワーによると、8日にはアップルの基本ソフト(OS)「iOS」でのアプリストアで最もダウンロードされた無料アプリとなり、5日連続で首位を維持。これまで250万回以上ダウンロードされたという。

実証実験は上海や深センのほか、冬季五輪の会場など10の主要都市で行われている。当局は五輪のために来訪する外国人に、デジタル人民元の影響力を示したい考え。

PwC中国のシニアエコノミストは「既に定着した決済手段があるため、人々がe─CNYを受け入れ始めるまでに時間がかかる」と指摘。

水道・電気料金、医療費の請求でe─CNYを優先させるなど、利用を促進する方法は多数あるとし、「政府の少しの後押しで大きな違いが出る」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、24年3月期は2276億円の赤字 

ビジネス

日経平均は小反落、一時3万8000円割れ 日銀正常

ビジネス

EU規制準拠ヘッジファンド、資産8年ぶり低水準 個

ビジネス

午後3時のドルは155円後半、日銀国債買入圧縮で一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中