最新記事

野生動物

ムクドリの集団飛行は、ネット民を詩人にするほど美しい

2022年1月28日(金)19時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ムクドリ

「身を守る」という現実的な理由から生まれた芸術的光景(写真はイメージです) mikedabell-iStock

<東京五輪のドローン演出にも負けないくらい幻想的?>

息を呑むような映像がローマで撮影された。

リズミカルに空を舞う何百羽ものムクドリが、TikTok上でユーザーたちを魅了している。統制のとれたパフォーマンスはまるで一つの意思を持った生きもののようで、クラシックBGMとの組み合わせは、この上なく幻想的だ。

昨夏の東京五輪の開会式で、無数のドローンを用いて地球の形を作る空中ショーが話題となったが、夕空に展開される鳥たちの集団飛行も美しさという点で負けていない。

18日にpris(@fuelsfeels)が公開したこの映像は、数百万の視聴者を釘付けにしている。「いいね」の数は(28日時点で)200万を超え、コメント欄には2万件以上の書き込みも。

@fuelsfeels I absolutely lost my whole mind tonight. There's no scientific explanation for why they do this???? #rome #birds ♬ original sound - AntiNightcore

多くの視聴者にとって、この動画は忘れられがちな地球の美しさを思い出すきっかけとなったようだ。あるユーザーは次のように述べる。

「地球上にはあまりにも多くの不思議なことがあって、私たちはそれに慣れすぎている。自分たちが見たり経験したりしていることを、真に理解することはできない。これもその一つ」

まるで詩のようなコメントも見られる。

「彼らはただそれをするためにしているんだ」

日本でも見られるが...

映像に登場するムクドリはヨーロッパ原産だが、1890年にシェイクスピアのファンが「彼の戯曲に登場するすべての鳥を実際に見てみたい」と考え、ニューヨークのセントラルパークに輸入したことから米国にも生息するようになった。今日、北米には約2億羽のムクドリが生息し、外来種に分類されている。

英国王立鳥類保護協会(RSPB)のオリ・ルーリーは、ムクドリが集団飛行するのは安全上の理由からだという。

「ハヤブサのような捕食者は、(数千羽の)ムクドリの群れから一羽を狙うことは難しい」

生で「空中ショー」を見るには、彼らがねぐらに入る前の黄昏時が最適だ。ねぐらは葦原、崖、森林など厳しい天候から守られ、捕食者から逃れられる場所にあることが多い。

ただし、季節によっては都市部の街路樹をねぐらにすることもある。日本でも騒々しい鳴き声や大量の糞(ふん)の被害が報告されている。

うっとりと眺めるには、適度な距離感が必要かもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前月比+0.3%・前年比+3.4%

ワールド

米大統領選、バイデン氏とトランプ氏の支持拮抗 第3

ビジネス

大手3銀の今期純利益3.3兆円、最高益更新へ 資金

ワールド

ニューカレドニアの暴動で3人死亡、仏議会の選挙制度
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 8

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中