最新記事

ウクライナ情勢

バイデン、東欧へ数日中に3000人派兵 ウクライナめぐりロシア牽制へ

2022年2月3日(木)10時20分
バイデン米大統領

バイデン米大統領は緊迫化するウクライナ情勢を踏まえ、数日中に3000人規模の米軍部隊を東欧に派遣することを承認したことが分かった。米政府高官3人が明らかにした。米国防総省が2日にも正式発表する見通し。写真は2月1日、記者会見するバイデン大統領(2022年 ロイター/Leah Millis)

米政府は2日、緊迫化するウクライナ情勢を踏まえ、数日中に3000人規模の米軍部隊を北大西洋条約機構(NATO)のポーランドやルーマニアなどに派遣すると発表した。ロシアによるウクライナ再侵攻に備え、東欧での米軍を増強する。

米国防省は、バイデン大統領が派兵を承認したと確認。米ノースカロライナ州から1700人の部隊がポーランド、300人がドイツにそれぞれ派遣され、ドイツに駐留する米部隊約1000人がルーマニアに配備される。

ツイッター上のメディア報道によると、バイデン米大統領は東欧への派兵について、ロシアのプーチン大統領に伝えてきたことと整合的だと述べた。「プーチン氏が攻撃的に行動する限り、NATO同盟国や東欧が、米国が共にいるとの安心感を得られるよう確実に図る」と述べた。

国防総省のカービー報道官は「ロシアのプーチン大統領、そして世界に向け、NATOが米国および同盟国に重要であるという強いシグナルを送ることが肝要」と言明。「必要とならないことを望むが、必要とあらばわれわれはNATOの同盟国を守る用意を整えると明確にする」と述べた。

国防総省によると、新たな軍派遣は先に派兵待機とした8500人に追加して実施される。カービー報道官は今回発表された以上の増派の可能性も排除しないという考えを示した。

国防総省の報道官は先週、必要に応じて極めて短時間で欧州に派遣できるよう、米軍は兵士約8500人を派兵待機としたと発表していた。

カービー報道官はまた、ロシアによる軍増強に改めて警鐘を鳴らしつつも、プーチン大統領が外交的な解決を選ぶことを望むとし、「われわれは依然として、プーチン大統領がウクライナ再侵攻を決定したとは確信していない」と語った。

NATOのストルテンベルグ事務総長は米国が東欧の軍増強を決めたことについて、「米国のコミットメントを示す強力なシグナル」と歓迎した。

対話は平行線

西側諸国とロシアは外交的解決に向け協議を続けているが、ウクライナのNATO加盟を認めないなどのロシア側の要求を欧米が拒否し、ロシアも要求の取り下げを拒絶しているため、対話は平行線をたどっている。

マクロン仏大統領は間もなく、バイデン氏とウクライナ危機について協議すると表明。ロシアを訪れてプーチン大統領と会談する可能性もあるとした。ドイツのショルツ首相は2日、近くロシアの首都モスクワでプーチン大統領と会談すると明らかにした。詳しい日程は不明。

ロシア大統領府(クレムリン)は、プーチン氏が2日のジョンソン英首相との電話会談で、NATOがロシアの安全保障上の懸念に適切に対処していないと訴えたと明らかにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア軍の上陸艇を撃破...夜間攻撃の一部始終

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中