最新記事

人種差別

「白人の国」を目指す武装極右団体「パトリオット・フロント」を拘束

What is Patriot Front? Everything We Know About the White Supremacist Group

2022年6月14日(火)15時05分
イザベル・マーティンズ

白人至上主義団体「パトリオット・フロント」の創設者トーマス・ルソー Kootenai County Sheriff's Office/REUTERS

<現地警察は、トラックに「ミニ軍隊」並みの装備を積んで暴動を起こそうとしたとして、メンバー31人の身柄を拘束した>

アイダホ州コーダレーンの警察は6月11日、武装した集団についての緊急通報と目撃者の情報を受けて、31人の男の身柄を拘束した。全員同じような服装をしたこれらの男たちは、白人至上主義団体「パトリオット・フロント」のメンバーとみられている。警察に情報提供を行った人物は彼らについて、「ちょっとした軍隊のようだった」と語った。

警察に拘束され跪いたメンバーたち


同団体は、11日にコーダレーンで開催されていたLGBTQのプライド・イベントで騒ぎを起こす計画を立てていた疑いがある。男たちは、ホテルの近くで防護マスクや盾などの装備を積んだレンタルトラックに乗り込むところを目撃されていた。

コーダレーン市公園で開催されるプライド・イベントは「プライド・イン・ザ・パーク」と呼ばれ、ドラァグクイーンやミュージシャン、ダンサーたちのパフォーマンスが呼び物となっている。

警察によれば、身柄を拘束された31人は全員、暴動の共謀罪で起訴された。彼らの具体的な狙いが何だったのかを突き止めるべく、FBIも捜査を支援している。

パトリオット・フロントとは

反差別を掲げるユダヤ系団体「名誉毀損防止連盟」によれば、パトリオット・フロントは、2017年9月にバージニア州シャーロッツビルで起きた白人極右集会「極右団結」の後、別の白人至上主義団体「バンガード・アメリカ」から離反したメンバーたちによって結成された団体だ。

@its.tiff.again Y'all these are American Terrorissst A bunch of dorks that can't turn in formation. #americanexceptionalism MEAN! - Madeline The Person
パトリオット・フロントのものと思われる軍隊式行進訓練



白人史上主義者のパレードと反対派が衝突したシャーロット事件


差別団体を監視する「南部貧困法律センター(SPLC)」は、パトリオット・フロントを「白人ナショナリスト団体」と称しており、彼らによれば、テキサス州を本拠地とするパトリオット・フロントは、アメリカに白人の民族国家を形成することを目標に掲げている。

パトリオット・フロントはマニフェスト(綱領)の中で、次のように述べている。「アメリカは当初からリベラルな理想の上に築かれた国家だが、人々の多くの行いが建国の基盤を弱めた。白人アメリカ人の故郷はしばらくは守られたが、この共和国の衰退に対抗する手段は一時的なものにすぎず、最終的には役に立たなかった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

印ヒーロー・モトコープ、1─3月期は18.3%増益

ビジネス

中国・碧桂園、元建て債利払いできず 猶予期間内の履

ワールド

EU弱体化求めるのは「自滅的で無責任な行為」=独首

ビジネス

独メルセデス、米アラバマ工場のUAW加入を妨害せず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中