最新記事

動物

韓国のビーチに打ち上げられた超巨大クラゲ...温暖化で大量発生のペースが加速

Giant Venomous Jellyfish Undergoing Population Boom Terrifies the Internet

2022年8月12日(金)18時17分
ジェス・トムソン
クラゲイメージ

VictorHuang-iStock

<ネットでは砂浜に横たわるクラゲの画像が話題になっているが、韓国では巨大なエチゼンクラゲが毎年のように大量発生するように>

韓国の海辺に横たわる巨大クラゲの画像がネットで話題になっている。このクラゲは英語ではノムラクラゲと呼ばれるエチゼンクラゲとみられるが、韓国ではこの数年、エチゼンクラゲの大量発生が問題となっている。

ソーシャルニュースサイト「レディット」に画像を投稿した「Alesig」によると、画像は韓国・仁川近くの海辺で2008年に撮影されたものだという。一緒に映された女性の足と比べても、その大きさは歴然だ。ピンクと茶色のその姿は、まるでゼリーに覆われた触手を持つ脳のようだ。

「大きさは1~1.5メートルくらいだと思うが、よくわからない。死んでいて、少しつぶれていた」とAlesigはニューズウィークに語った。

■【画像】韓国のビーチに横たわる超巨大クラゲの写真

画像には、恐怖におびえる人々のコメントが寄せられている。あるユーザーは「ビーチや海水浴に向かない国がある」と投稿。別のユーザーは「人間なら誰のことも怖いと思ったことはないが、あれは恐ろしい」と述べた。

画像に対する他の多くのコメントによると、この巨大な生物はエチゼンクラゲの可能性がある。クラゲの専門家で、ロンドンにある自然史博物館のサイエンティフィック・アソシエイトであるギル・マップストンも同意見だ。

「巨大なNemopilema nomurai(エチゼンクラゲの学名)は根口クラゲ目で、かさ周辺に触手を持たない。韓国で撮影されたことも合わせると、この種である可能性が高い」とマップストンはニューズウィークに語った。

エチゼンクラゲは根口クラゲ目の中でも大型の種で、世界最大のクラゲである「キタユウレイクラゲ」(別名:ライオンのたてがみクラゲ)とほぼ同じ大きさだ。「かさの直径は2メートル、重さは最大200キロにもなる」と、マップストーンは言う。

毒を持ち、触れると死に至るケースも

エチゼンクラゲは通常、東シナ海と黄海に生息している。その長い触手には毒があり、触れるとかゆみ、腫れ、激痛を引き起こし、死に至ることもある。「刺されても死に至ることは少なく、強い痛みが30分ほど続いた後、和らぐことが多い。だが中国では、死亡例も数件報告されている」とマップストーンは説明する。

近年、韓国ではエチゼンクラゲの数が増加しており、大量発生の頻度も増しているようだ。韓国政府は海水浴客に、刺される危険性を警告している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正(8日配信記事)-エアビー、第1四半期は増収増

ビジネス

将来の利下げ回数、賃金など次第 FRBに左右されず

ビジネス

米新規失業保険申請23.1万件、予想以上に増加 約

ワールド

イスラエル、戦争の目的達成に必要なことは何でも実施
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 3

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 4

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 5

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「高齢者は粗食にしたほうがよい」は大間違い、肉を…

  • 10

    総選挙大勝、それでも韓国進歩派に走る深い断層線

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中