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「がんワクチンがあと数年で利用可能になる...」新型コロナワクチンと同様のアプローチで、とビオンテックの共同創業者が語る

2022年10月19日(水)16時15分
松岡由希子

新型コロナウイルスワクチンを開発したビオンテックの創業者ウール・シャヒン博士と妻のエズレム・テュレジ博士  Jutrczenka/REUTERS

<新型コロナウイルスワクチンを開発したことで知られる独ベンチャーのビオンテックは、新型コロナウイルスワクチンの開発成果であるメッセンジャーRNA(mRNA)技術を応用したがんワクチンが2030年までに利用可能になるとの見通しを明らかにした......>

新型コロナウイルスワクチンを米ファイザーと共同開発したことで知られる独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックは、新型コロナウイルスワクチンの開発成果であるメッセンジャーRNA(mRNA)技術を応用したがんワクチンが2030年までに利用可能になるとの見通しを明らかにした。ビオンテックの共同創業者であるウール・シャヒン博士とオズレム・テュレジ博士がBBC(英国放送協会)のテレビ番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」でインタビューに答えた。

新型コロナウイルスワクチンと同様のアプローチで

メッセンジャーRNAは、細胞に抗原やタンパク質を生成させるための「指示」や「設計図」を体内に届けることで機能する。たとえば、新型コロナウイルスワクチンは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の「設計図」を与えることで、抗原となるスパイクタンパク質が体内で産生され、これに対する中和抗体産生や細胞性免疫応答が誘導されることで免疫を獲得する。

ビオンテックでは、同様のアプローチで、腫瘍細胞の表面に付着するタンパク質に関する「指示」を与え、免疫系ががん細胞を特定し、破壊するように仕向けられると考えている。シャヒン博士は「術後すぐに個別化がんワクチンを接種して免疫反応を誘導し、体内のT細胞が残存している腫瘍細胞を選別し、除去する治療法の確立を目指している」と語る。

がん治験はコロナ禍よりもずっと前に開始されていた

シャヒン博士とテュレジ博士はともに医師としてがん患者の治療にあたった経験を持ち、十分な治療を提供できないもどかしさから、新たながん治療法の研究開発に取り組んできた。メッセンジャーRNA技術によるがん治験はコロナ禍よりもずっと前に開始され、有望な兆候もみられる。

テュレジ博士は「がん治験で治療するすべてのステップ、すべての患者のおかげで、我々は何にぶつかり、どのように対処するのかについて、より深くわかるようになっている」とこれまでの成果を評価しながらも、「科学者として『がんの治療法がある』とは言いづらい。いくつもの突破口を手に入れ、取り組み続けていく」と慎重な姿勢を示している。

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