最新記事

中国

中国がロシアに殺傷兵器を支援する?「それは世界戦争の始まりだ」

China Could Push Russia-Ukraine Conflict to 'True World War,' Analyst Warns

2023年2月20日(月)18時30分
アナ・コマンダー

中国はウクライナの味方のふりをしてロシアを助けていると米国は非難する(写真は2022年9月、上海協力機構の首脳会議に出席した中国の習近平国家主席) Sputnik/Sergey Bobylev/REUTERS

<アメリカの度重なる警告にもかかわらず、中国はロシアに殺傷兵器の支援をすることを検討し始めていると、ブリンケン米国務長官は言う。それは中国に「重大な結果」をもたらすと。そして世界にもだ>

ニューヨーク・タイムズのコラムニストで外交ジャーナリストのトーマス・フリードマンは2月19日、ロシアとウクライナの戦争は、中国がロシアに武器支援をして「本物の世界戦争」に火を付ける可能性があると指摘した。

フリードマンはNBCの番組「ミート・ザ・プレス」のインタビューでこう述べた。「中国は何より、この戦争を引き延ばしたがっている。なぜならわれわれ(アメリカ)をこの戦争に縛り付けておきたいからだ。そしてわれわれは、兵器や軍用品を使い尽くしつつある」

フリードマンはまた、中国にとって望ましいのは「経済的に(中国に)依存するしかない弱体化したロシア」であり、「破綻したロシア」ではないと語った。

「西側がロシアを倒したとすると、台湾統一にとっても悪いシグナルだ。中国はそういう事態を心配しているのかも知れない。中国がロシアに武器支援をしたらどれほどの大事になるか、強調してもしきれない。そんなことになれば本物の世界戦争になるだろう。世界中の市場に影響を及ぼすし、世界はこれまでと全く変わってしまう」

同じ番組の中でアントニー・ブリンケン国務長官は、ウクライナ侵攻でロシアを支援すれば「深刻な結果」を招くと中国の外交トップの王毅に警告したと語った。

殺傷力のある武器支援も

中国がロシアに殺傷力のある兵器の支援を検討しているという証拠はあるのかと問われ、ブリンケンはこう答えた。「中国は両陣営に二股をかけている。表向きはウクライナの平和を望む国のふりをしながら、裏では殺傷力のない軍事物資(軍服や防弾チョッキなどと推測されている)の支援を行ってロシアの戦争を直接、助けている」

「われわれが得ている情報は、中国がロシアに殺傷力のある武器支援を本気で検討していることを示している。ただしわれわれの知る限り、彼らはまだ一線は超えていない」

元米欧州軍司令官で元中将のマーク・ハートリングは19日、本誌に対し、こう述べた。「中国はライバル国、つまりアメリカとロシアの両国はそれぞれ、国家目標の達成に向けて忙しく、自分たちから注意がそれていると考えている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中