最新記事

韓国

訪日韓国人急増、「いくら安くても日本に行かない」との回答も一変......その理由は?

2023年2月24日(金)18時30分
佐々木和義

大韓航空は、売上高と営業利益のいずれも過去最高を記録

大韓航空は旅客需要が回復した2022年、売上高と営業利益のいずれも過去最高を記録した。同社はアシアナ航空の買収に乗り出す考えだ。

格安航空LLCのジンエアーは22年10月〜12月の第4四半期、国際線の利用者がコロナ禍前の63%まで回復し、19年の第1四半期以来、15期ぶりに黒字となった。

国際線利用者が54%まで回復した済州航空は、3月26日から仁川―松山・静岡線の運航を再開する。

アシアナ航空を除く航空各社がV字回復を果たすなか、ソウル江南の都心空港ターミナルが廃業した。同ターミナルは1990年の開業以来、航空会社のチェックインサービスを提供してきたが、空港鉄道の運行やモバイルチェックインの普及で利用者が減少、また新型コロナウイルス感染症の影響で20年4月から休業していた。

済州島も観光客の減少に頭を抱えている。日本製品不買運動が拡大した2019年、過去最多となる1356万人の韓国人が済州島を訪れた。2020年には新型コロナウイルスの感染拡大で1002万人に落ち込んだが、2021年から増加に転じ、昨年は1381万人の韓国人が訪れた。

ノービザが再開すると済州島を訪れる韓国人が減少しはじめた。ノービザ再開直後の11月は対前年比4%減にとどまったが、12月には7%減、1月に入ると10.4%減少、売上げが26%落ち込んだホテルもある。

訪日韓国人の増加でも日本が享受する恩恵は限定的

訪韓日本人が増加しても日本観光業界の好況につながる可能性は大きくない。日本製品不買運動が吹き荒れた2019年下期、韓国の旅行会社と航空会社が甚大な被害を受けたが、多大な被害を受けた日本企業はほとんどない。

成田空港に到着する外国人旅行者の多くがJRの成田エキスプレスや京成スカイライナーで都心に向かい、関西空港でもJRの特急はるかや南海のラピートを利用するが、韓国人は多くがより安価な一般列車を利用する。

日韓往来が1000万人に達した2018年、訪日外国人のなかで最も支出が少ないのが韓国人だった。

訪日韓国人の増加で韓国の航空会社と旅行会社が好調な再スタートを切る一方、日本が享受する恩恵は限定的だろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ率低下、持続可能かの判断は時期尚早=ジェフ

ワールド

ウクライナ、北東部国境の町の6割を死守 激しい市街

ビジネス

インフレ指標に失望、当面引き締め政策が必要=バーF

ビジネス

物価目標達成に向けた確信「時間かかる」=米アトラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 5

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中