最新記事

ロシア

「違法薬物を使っているに違いない...」ワグネル戦闘員の異常、ウクライナ軍兵士が語る

Wagner Troops in Bakhmut are 'Definitely' on Drugs, Ukraine Fighter Says

2023年3月8日(水)17時50分
アナ・スキナー
ウクライナ軍兵士

REUTERS/Clodagh Kilcoyne TPX IMAGES OF THE DAY

<激戦地バフムートの前線で、ウクライナ軍兵士は民間軍事会社ワグネルの傭兵の異様な戦い方を目撃。違法薬物を使っているとしか思えないと証言した>

ウクライナ東部の要衝バフムートでの攻防が激しさを増すなか、ウクライナ軍兵士から、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの戦闘員は違法薬物を使用しているに違いない、という証言が飛び出した。

2月24日に2年目に突入したロシア・ウクライナ戦争だが、その最前線は、昨年秋からバフムートに移っている。ロシア軍兵士が同市をほぼ包囲し、双方ともに大きな損害を被っている。

ウクライナの英字紙キーウ・ポストによると、ロシア軍は猛烈な攻撃を仕掛けており、ウクライナ軍と比べて兵士の損失割合が7:1で多い。だが、損失が多いからといって、ロシア軍が攻撃の手を緩める気配はない。

ウクライナ軍は数カ月にわたってバフムートを維持してきたが、最近、軍幹部らは防衛強化のためにバフムートから戦術的撤退を検討していた。だがキーウ・ポストは3月6日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が軍幹部に対し、バフムートで戦う部隊を助けるために適切な戦力の増強を指示し、兵士には戦いを続けるよう求めたと報じた。

キーウ・ポスト紙の独占インタビューに応じたあるウクライナ軍兵士は、ワグネルの戦闘員の非人道的な行為について語った。傭兵たちの戦い方があまりにも異様なので、薬物を使っているに違いないと感じた、と兵士は言う。

死体ですべてが覆われる

「連中は間違いなく何らかの薬物を服用していると思う。正常な心理状態の人ならしないようなことをするからだ」。レシーと名乗るその兵士は語った。

レシーはウクライナ軍から銃撃を受けながら塹壕を掘るワグネルの戦闘員の様子を説明した。塹壕を掘る戦闘員が殺されると、別の戦闘員がその代わりをする、という。

「死んだやつを押しのけ、次のやつが出てきて掘り始める」と、レシーは語った。「次のやつを殺す、と同じことの繰り返しだ。連中は3日間、これを続ける」

極寒の中、Tシャツ1枚で行動している者もいて、ワグネルの兵士が正常な判断力をもって行動しているとは思えない、とレシーは言う。

「彼らは犠牲者など気にしていない。何もかもが死体で覆われていた」

ワグネル・グループの創設者エフゲニー・プリゴジンはウクライナ戦争において、主に戦闘に参加する傭兵を調達することでロシアを支援してきた。ワグネルの傭兵の多くはロシア人受刑者だ。

ワグネルは、部隊を離脱したり、セックスをしたり、薬物を使用したり、アルコールを飲んだりしてはいけないなど、傭兵に厳しい規則の遵守を要求すると言われている。兵士たちは戦闘に従事する引き換えに、罪の赦免を約束されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀が金利据え置き、総裁「状況は正しい方向」 利

ビジネス

FRB「市場との対話」、専門家は高評価 国民の信頼

ワールド

ロシア戦術核兵器の演習計画、プーチン氏「異例ではな

ワールド

英世論調査、労働党リード拡大 地方選惨敗の与党に3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 4

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 5

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 6

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 7

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中